「あの、ジェイド…?」
「はい、何でしょう」
「問1.この現況を端的に答えなさい」
「私がリオを華麗に押し倒していますね」
「一先ず落ち着こう。冷静になろう」
「私はいつだって落ち着いてます。冷静です」
上から除けるつもりはない、とやんわりとだがそう示唆されたような気がする。
「………」
「この状況を打破なんてさせませんよ?」
「ゔ…」
どうにかしてジェイドの下から抜け出せないかと苦慮してみたものの、行動に出る前に阻止された。内心チッ、と舌を打つ。
「据え膳食わぬは男の恥ですから」
「私何も言ってないから!あんた最近陛下に似てきた!」
「おや、馬鹿な陛下と聡明なこの私の何処が似ていると言うんですか」
「悪戯好きな所なんてそっくりだ!」
力じゃ敵わないことは解っている。少々可哀想な気もするがこの際仕方ないから急所を蹴り上げることにした。
「…リオ…それは、反則でしょう……」
「ジェイドが悪い」
「息子が勃たなくなったらどうしてくれるんですか」
「知らない」
「子作り出来なくなるじゃないですか」
痛みに悶えるジェイドは中々貴重だ。というよりもちゃんと急所に命中したのはこれが初めて。なんだか感動した。
例えて言うなれば、
「…清々しい?」
「人の股間蹴っておいて清々しい、ですか」
「いつも躱されるし」
「私でなくても急所を狙われたら躱しますよ。条件反射です」
あーだこーだ語っている内に逃げようと試みたが、ニコリと、それはもう満面の笑みに等しいくらいに盛大に微笑まれ、制された。笑ってはいるもののそのどす黒い影に食われる寸前なリオ。
今は朗らかな季節だというのに、私は心も体も凍えています。助けて下さい、お母さん。
誰でもいいから、悪魔でも仏様でもいいから、目の前の35歳をどうにかして下さい。今なら、今ならっ悪魔に魂を売ったって構わないから!
「では、魂の代わりにリオの処女を下さい」
「黙れ、変態魔王!」
「誰しも欲望はあります。それも性欲は人間の三大欲求の中でも最強ですから」
「睡眠欲の方が上の人もいるでしょ!」
「聞いた覚えがありませんね」
「嫌だ!離せ!」
またしても捕えられてしまったリオ。
今度は簡単に抜け出せそうもない。
背後から抱くなどとは、卑怯な。
「やー、抱き心地が良いですねー」
「胸を揉まないでよ。やっ…ちょっ、ジェイド!」
「おやおや、感じるなんて淫乱な「土に還れ!」」
「大丈夫ですよ。この手が余る胸も大きくしてあげますから」
「余計なお世話!」
何となくかみ合わない会話を繰り広げながら、攻防戦を続ける。
扉を隔てて向こう側の人間は齷齪働いているというのにこの2人は一体何をイチャイチャしているのだろう、と誰かがひっそり呟いた。リオがこれを聞いたら怒ること間違い無しであろうが。
「いい加減、観念なさい」
「処女は恋人にあげるんだ!」
「ということは、私はどうなるんですか?」
「ジェイドの立場なんて私の知ったことじゃ、…」
思わず言葉に詰まった。
最大限首を捻り、後ろを見るとジェイドの顔がいつになく歪んでいる、ような気がする。
ともかくそんな顔をされると突き放せなくなる。理由はよくわからない。でも、何となく言葉を発してはいけないような、そんな空気だ。
「私はリオが好きで好きで堪らない。それを貴女は無視すると?」
「だだだって、ジェイドは何も言ってくれてないからっ」
「え、?」
「私、ジェイドからの告白なんて一回も受けてない」
確かによくよく考えてみれば、いつもじゃれつくだけで、重要なことは何一つ言っていないような。
「じゃあ、今言います。結婚して下さい」
「はいはい…って今かよ!もっとちゃんと雰囲気を…!」
「これでリオも了承しましたね。ということで付き合い始めに一発「帰れ!」」
奴の前では油断は許されない。
いつだって虎視眈々と目を光らせているのだから。
End.
10/04/05
▽おまけ
「結婚を申し込む前にまだすることがあるでしょうが!」
「ええ、あるますよ。ヤることが。それを今するんじゃないですか」
「あんたはそれしか頭に無いのか!」
「はい☆」
「ウザッ!帰れっ!」
「嫌です☆さあ、観念しなさい」
「強姦は犯罪だァアア!!」
「これは誰が如何見ても和姦でしょう」
ガチャ。
「失礼します、カーティスたい、さ…お取り込み中でしたね、失礼しました」
バタン。
「嫌ァア!少将助けてェー!」
「残念無念また来週、です☆」
▽後書き
…すいません。甘、が無いような気がしてならないです(ガクブル
そして下ネタばっかでごめんなさいorz
もももちろん、書き直しは受けます。苦情も受けます。遠慮なくどうぞ!
この度はキリ番リクエストありがとうございました!
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