とてもとても、青い空。
何処までも果てしなく続く空は正に清々しいの一言。
その下、茶と緑が入り交じったこれまた惑星の反対側まで続く土の上に少女が二人。
「長閑で良いですね」
「お前の国ではこれを長閑というのか」
「言います」
只今、暴風警報発令中。
確かに天気だけを見れば長閑かもしれない。しかしこの暴風はどうあがいても絶対に長閑とは言えない。
「風が清々しいです」
「 ・ ・ ・ 。…そうか。アンジュが言うならそうなんだろうな」
暴風に髪を靡かせるアンジュ。
いや、靡かせると言うよりかは寧ろ風に吹かれているように思える。とサイラスは密かに独りごちた。
「…こんな暴風でマメが飛ばなければ良いがな」
「あなたも好きですね、マメ吉…」
「アンジュもやらないか?」
「遠慮しておきます」
サイラスがあまりにマメマメ騒ぐのでアンジュの口から思わず溜息と共に呆れが外に出た。
「中々癖になる面白さなんだ、コレが。手に職を付けられる」
「(マジで?)…か、考えておきます」
自分の所為で彼女の本音が出たとは露知らず、サイラスはダアトに在る自室に、そしてダアト周辺に群生している(自称 可愛い)マメ吉に思いを馳せる。
「(中毒性…マメ菌?)」
奴のマメ吉依存を見て、一瞬マメ菌説に思い至ったが納豆菌的な何かが出現。
ぎょっとするや否や頭を左右に振ることでその纏わり付く邪念を無理に払った。
「そういやな、アンジュ」
「何ですか…」
「成熟したマメ吉と未成熟なマメ吉を同じ空間に置くと短期間で熟すことを発見したんだ」
「…それで?」
「これなら初心者のアンジュでも簡単に育てられるだろう」
辟易している本音を隠すには些か苦労した。
しかしマメ吉に視線を落とすサイラスは気付かなかったようだ。
――…ん?
思わず二度見した。
そしてしなければ良かったと後悔した。
「……何で持ってんですか」
「ん?やっぱり心配だったから」
「…そう……」
「でな、やっぱりエチレンって物質が関連してるらしくて…アンジュ、聞いているか?」
残念ながら聞いてません。
そうハッキリ言えたならどんなに楽なのだろうか。ああ、こんな活きの良いサイラス見たことない。
「成熟したマメ吉はエチレンを垂れ流して未熟マメ吉を成長させるんだ。俺はこれに『レディアント・エチレン』という名前を付けたんだ」
「 ・ ・ ・ 。…左様ですか」
いつも眠そうな彼女のこんな活き活きした姿を見ていると言葉を返すのも億劫になってくる。というより何を返して良いものか悩む。非常に悩む。だからそれが面倒なのだ。
ビュオ―――ッ。
二人の身体を冷たく荒れた風が通り過ぎる。この話の発端は暴風ではなかっただろうかとふと疑問に思った。
「やはり暴風はマメ吉の育成環境には適さない」
私にとってあなたの存在が一番の暴風です。
第三者の目を通してこれを見た時、果たして人の呆れを買うのはどちらか。
答えなんて、そんな今更な。
End.
10/12/28
▽後書き
相互お礼文、遅くなってすみませんっ!(土下座
あれ、確かリクエスト頂いたのって三月ぐらい前じゃ…なんて思ったのはここだけの秘密。
そして遅くなっただけに飽き足らず内容がこんなふざけですみませっ…い、石は投げないでっ(投石
石はともかく苦情、書き直し要請は受け付けます。それはもう遠慮なくぶつけてやって下さい。
ではでは冬幻ユウさま、この度は相互リンク並びにリクエストありがとうございました!末永くこの馬鹿にお付き合い頂けると狂喜乱舞します!
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