楽しい?マメ栽培



始まりは、いつも雨だった。いや、もしかしたら曇りだったかもしれない。
天気などはまあ、どうでもいい。重要なのは乃鴉の手中である。


「何だその鉢植え」

「拾って来た。どうだ可愛いだろ」

「可愛いって…鉢がか?」

「鉢じゃない、マメ吉栽培キット」


マメ吉栽培キット。
マメと角々しいフォントで書かれたプランターが一つ。恐らくマメ吉とやらが埋まっているのだろう。よく見るとひょっこり双葉が出ている。


「…かく言う俺もこんなものを拾って来た」

「『マメ吉の上手な育て方〜従順編〜』…サイラスもやる気だな」

「偶然だ、偶然」


偶然と言い張るサイラスも、実はその得体の知れないものに興味が有ったりした。それ故のマメ教本である。
二人は早速、マメ吉とやらを従順に育ててみることにした。


項目1.水やりには気を付けるべし。

「水やりにどう気を付けろと言うんだ」

「…愛を注ぐ的なアレだとウチは思う」

「愛…それは温度の高い水のことか?それなら任せろ」

「つまりお湯だな。よし、頼んだ」


項目2.程良く日光を当てるべし。

「残念ながら今日は雨だ…乃鴉、何とか出来るか?」

「問題ない。…日輪よ!」


何処ぞの戦国話で聞き覚えのある台詞だが、この際気にしないでおくとひっそり思ったサイラスがいた。


項目3.傍に置いて育成するべし。

「本当にこれで育つのか?」

「その内、何か出るんじゃないか?」

「ケーキでも食う?」

「食う」


丸一日を栽培とケーキ作りに費やし、日々を送るも双葉から先が出ない。
育て方の間違いを思慮してみても、思い当たる節が無い。一体、何が問題なのだろうか。


「水も日光も充分な位だと思うケド…」

「ちゃんと雑草も取ってるし、肥料も使ってる。これ以上何をしろと言うんだマメ」

「ただ一つ、あるとすればそれは…」


乃鴉とサイラス、目をかっぴらいて一言、

「環境だっ!!」


「そうだ…この瘴気の混ざった土がマメ吉の成長を妨げていたんだ…!」

「どうして今の今まで気付かなかったんだ!?」

「瘴気なんてウチが消し飛ばしてやる!」

「水の浄化は俺に任せろ!」


乃鴉とサイラスは一方向に突っ走る。果てしなく一方向へと全力疾走。
後先のことなんて基本考えない。いつだってゴーイングマイウェイ。


『マメ出ろー。マメ出ろー』
一頻り念を送ると何事も無かったかのように就寝。
また同じ日が始まると思っていたのだが、

―――もぞもぞがたがた…にょきっ。
睡眠の合間に、不可解な音がしたのを二人は知らない。


「サイラス!起きろ!マメが…」

「何だとっ!?…俺たちは間違って無かったんだな」


喜びを噛み締め、わーきゃーわーきゃーとはしゃぐ黒コンビに、


「なるほど、マメが出るとこんな風になるんだな」

「このまま育て続ければ花も咲くんだろうか」

「花か…花も見てみたいケドな」

「同感だ」


そして今度は開花させるべく惜し気も無く更に時間を費やしていく。
いつしかマメも伸び始めて、いよいよ花が咲くかに思われた。

しかしそんなもの気の所為だったと思うのは数秒後、


「解せぬっ!!」


End...less?
10/12/08
▽後書き
解せぬっ!<●> <●>
マメネタは落ち着く!(どーん
がしかしとてもとても意味不明な文章が出来ましたよ。贈り物には見えない…orz
うん、文句があれば遠慮無くどーぞ。
何かもう色々とごめんなさい(土下座
では、神在月祝さま!相互リンク及びリクエストありがとうございました!
これかもどうぞ仲良くしてやって下さいな^^

▽おまけ
「従順の予定だったのにー…」
「くそぅ…一体何が悪かったんだ…」
「解せぬっ!解せぬっ!」

「いやでもコイツも可愛いな…」
「ウチ、もう一回鉢植え拾って来る」
「待て、乃鴉。コイツから種子を採れば栽培は出来る」
「種子…このまま埋め直すか」

そして二人はマメを土に還し、再び栽培を始めたとさ。
その時にマメの絶叫が五月蠅かったのは言うまでも無い。
(乃鴉とサイラス、二人がマメ職人と呼ばれるのはそう遠くない未来の話…)



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