前略。
私は今、ヤンデレ男子を飼っています。
『飼う』以外に如何言葉を付けていいのか分からないので、もうこのままで良いかと思います。
だからといって、決してアブノーマルなプレイをしている訳ではありません。
むしろ、
…むしろ、この状況に置かれている私の方が危険な気がします。ええ、もの凄く。
ちなみに事の発端は全略。
とにかくツンツンから色んな過程をすっ飛ばしてデレデレになってしまった彼は、いつの間にやらヤンデレへと謎の進化を遂げていたのである。
三段階進化とか、ポ○モンですかコノヤロー!
ヤンバニさんになってからの彼は至極めんどくさい。どれくらいめんどくさいかって言うとただひたすらにめんどくさい。
退化とも言える進化を遂げた翌日には、
「リオ…。貴女が好き過ぎて…はぁ、病んじゃいそうです(はぁと)」
「………」
恍惚の面を被った兎は案の定、気味の悪い言葉を口遊み始めた。
リオは一時絶句した後、悪寒に駆られて声を荒げる。
「いやいやいや!病んじゃいそう(はぁと)じゃないから!もう既に病んじゃってるから!あとちょっと妖艶な雰囲気を目指したような溜息とかいらない!」
「リオも好きでしょう?アブノーマル。」
「好きで当然みたいな言い方をするな!生憎だけどね、私は常軌を逸した行為に洒落込む気はないのっ!」
ビシリッ。
毛筆で書いたような効果音が付きそう程に勢いよく目の前の病んだBBJ―― 通称、ヤンバニ ――に人差し指を突き立てた。
「…リオ、」
しゅんと項垂れたかと思えば、彼の声音がワントーン下がる。
前髪に邪魔されて窺い知れない表情が恐怖感を醸し出しているようで、背筋を寒気が走り抜けた。
「…何よ。」
「人を指さしてはいけないって言われなかったんですか?」
あの時は本気で終わったって思った。
え、何がって?考えるまでもないじゃない。いっそマベられてしまえば何もかも綺麗になるんじゃないかと。
誰かマーベリック呼んで来い。顔面にグローブ付いてる奴でも可。
この間だって、
「…捨てるなんて言わないでください。」
「不要なも物は捨てる。良い?バニさん、これは自然の摂理よ。」
「……本当に、捨てるんですか?」
「捨てるよ。今日燃えるゴミの日だもん。」
たかだかゴミを捨てるか捨てないかで揉めに揉めた。
その時には、声をワントーン下げて脅しを掛けてくることがもう既に日常茶飯事となっていた。そしてそれに対する私のスルースキルも順調にレベルを上がっていった。
だからちょっとやそっとのことじゃ驚かなくもなった。
流石、私。
「要らなくなったら僕も捨てるんですね?そのゴミのように!」
「ああもう!何コイツめんどくさいっ!」
スパンッ。
何処からか出てきたスリッパで彼の頭を引っ叩くと、それはそれは珍妙な顔をしておいでだった。
それが、約2週間前。
つまりあれから彼に会っていないのである。会っていないのだから、当然彼の様子など知る由もない。
しかし、あの状態で2週間放置なぞよくよく考えたら恐ろしいことだ。
などど適当に理由付けて、ヤンバニに会いに行くことにした。
「虎徹さん虎徹さん虎徹さん虎徹さn」
「っんだよ、離れろってバニー!」
「嫌です。虎徹さんは僕を見離したりしないでしょう!?」
「しねぇけど、便所行くだけでこれは俺だって、」
「そうやって虎徹さんも僕を捨てるんですね!?そうなんでしょう?」
・ ・ ・ 。
彼に任せて帰ることにしよう。あばよ、とっつぁん!
アポロンメディアを背に、心の断末魔の声を聞いた。
嗚呼、今日も晴天だ。
End.
12/05/07
▽後書き
ヤンバニのギャグなら何でも良し、ということでヤンバニな夢にしてみましたが、如何だったでしょうか。
ヤンバニ、というかただめんどくさいだけのバニーさんに見えるのはあながち気のせいでもないと私は思います。
しかし個人的にはヤンバニでギャグはあまり考えなかったので、今回は非常に楽しい体験をさせて頂きました^^
とりあえずヤンバニちゃんが書けて私はとても満足でした(何
しかし苦情、書き直しその他諸々があれば、遠慮なくバシッと申し付けてくださいませ。
ではアオさま、この度は5万打を踏んで頂き、そしてリクエスト下さり、ありがとうございました!そしてありがと(ry
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