こわい話

山田「昨日さ、変な人見てん」
白石「なんやいきなり」
山田「いや、ほんまに。これ怖い話やからな?心して聞いてな?」
忍足「それ聞かなあかん?」
山田「昨日な、近所のスーパー行ったんやんか」
忍足「おい、無視かい」
山田「あたしん家から1番近いルートでスーパー向かったんやけどな、ほらあの公園曲がったとこに駄菓子屋あるやん?その前にごっつい派手な赤いシャツ着た人が座り込んでな。ガチャガチャ回しながらブツブツ言うとんねん」
忍足「(あ〜あの駄菓子屋…)」
白石「おお…想像したらなかなか怖いな…」
山田「そうやねん。1人やのにずっとブツブツ言うとってな、結構背高かったからだいぶ大人やと思うねん」
忍足「(そういえば俺も昨日行ったな…)」
山田「その人の横通るんがちょっと怖くてな、遠回りしてスーパーに向かうことにしてん」
白石「わざわざやな」
忍足「(キン消しのガチャガチャしとって…)」
山田「それぐらい怖かったんや。ほんならな、遠回りしたはずやのに前方にな、見覚えのある派手な赤シャツ来とる人が見えたんや」
白石「え、それってまさか…」
忍足「(レアなモクズマン出たからだいぶテンション上がっててんな)」
山田「せやねん!さっきの人が!前からえらいスピードで走ってきてな!あたし怖くて道の端に避けてんけど、すれ違いざまになんか落として行ったんよ!それが」
白石「え、それ拾ったん?」
忍足「(その後、どっかでモクズマン落としてもうてだいぶテンション下がってんな〜)」
山田「これ!なんか気持ち悪ない?」

(華子さんは何かを取り出しました。)
(華子さんの手にはもじゃもじゃした形の消しゴムが握られていました。)

白石「うわ、なんやこれ…蛇?」
山田「あたし的にこれうんこやと思うねん」
忍足「ってそれ俺やないか!!!」
山田「え?このうんこは謙也ちゃうやろ」
忍足「ちゃうわ!その不審者って俺のことやろが!!」
山田「『浪速のスピードスターは6時のキン骨マンまでに間に合う!』とか言って走っていった不審者がそんなまさか謙也な訳ないやん」
忍足「お前分かってて言ってるやろ!素直に返さんかい!!」
山田「濡れ衣やわ!星が散りばめられたダッサイ赤シャツ着とったんが謙也なわけないやん!」
忍足「ダサないわ!超イカしてたやろが!!ちゅーかそれ返さんかい!」

(華子さんの持っているものを奪おうと謙也くんが立ち上がりました。)

友人「白石くん、取っ組み合いになっとるけどええのん?あれ」
白石「じゃれとるだけやからほっとってええで」
友人「何であんなことなったん?」
白石「落し物渡すまでの布石が長過ぎんねん」
友人「?」