「やぁ名前。また会ったね。」
「そ、そうだね。」
今日幸村に会うのはこれで六度目だ。クラスが離れているので普段はなかなか会わない。部活の時間になってその日初めて顔を会わせることもざらだ。なのに今日は何故かよく会う。何でだろう。正直怖い。それはあたしにやましいことがあるからだろう。
昨日の部活で幸村に間違えてジャッカルの使用済みタオルを渡してしまった。幸村は気付かずにそのタオルで顔を拭いてしまった。後々気づいたのだが幸村には黙っておいた。だって絶対殺される。しかしブン太にバレてしまった。絶対言うなって口止めしたけどブン太のことだから喋っちゃったかも。アイツあたしがジャッカルとケーキバイキング行ったこと恨んでるから。無料サービス券が二枚あったから初めはブン太と行くつもりだったんだけどジャッカルがもう3ヶ月甘いもの食べてないって言うから可哀想になっちゃって。それはまぁいいとして喋っちゃったのかな。
「何で今日はこんなに会うんだろうね。」
「何でだろうね。嫌かい?俺とたくさん会うのは。」
「そ、そ、そ、そんなことないよ!」
いやある。できることなら今は会いたくない。幸村の顔を見るたび昨日のことが気になって恐怖しかない。
「どうしたんだい。そんなに焦って。」
「焦ってなんかないよ。大丈夫大丈夫。」
「何か今日の名前変だよ。俺に隠し事でもあるのかい?」
あ、ヤバい。多分バレてる。口調は優しいけど目が笑ってない。どうしよう。もう言っちゃおうか。いやまてまて万が一バレてなかったとしたら完全に自爆だ。ちょっと探ってみるか。
「隠し事はないけど。…幸村もしかしてあたしに何か言いたいことある?」
「うーんどうだろうね?」
あるね。確実にあるね。
「それってジャッカルが関係してる?」
「かもね。」
はい100%バレてるー。そして殺されるー。もう自分から言うしかない。あたしは謝ることにした。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。悪気はなかったの。」
「反省してるならもういいよ。」
「えっ、許してくれるの?」
「当たり前じゃないか。」
「殺さない?捕って食べたりしない?全校生徒の前で吊し上げたりしない?」
「そんなことするわけがないじゃないか。誰が可愛い可愛い名前にそんなことするんだよ。俺がそんな酷い男に見える?」
「見えない見えない!」
見える見える。だからこんなにも恐れていたんじゃないか。でもよかった。簡単に許してくれて。
「これからはジャッカルじゃなく俺を誘ってね。」
「ん?なんのこと?」
「ケーキバイキングだよ。ジャッカルなんかより僕の方が名前を楽しませられるよ。」
「なんだそっちか。あたしはてっきり昨日幸村とジャッカルのタオル間違えて渡しちゃったことかと。」
「名前。それはどういうことかな?」
「あっ!」
「これからゆっくり聞かせてもらおうか。何だったらこのまま二人でケーキバイキングにでも行くかい?」
「ご、ごめんなさい!」
20140915
なんとまぁベターな。
幸村は名前ちゃんのことが好きです。
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