「まさはるーっ!部活終わったー?」

帰り支度を終わらせたタイミングで俺に声が掛かる

「おう。」

真琴が俺の部活の終わりを待つのは大抵、愚痴をつきたい時だ

「あれ?仁王先輩の彼女ッスか?」

偶然居合わせる赤也が興味津々に尋ねる

「愛人ですよー!」

聞こえていたらしくふざけた返事が返ってくる

「おまんが愛人じゃと?色気を出してから言いんしゃい」

呆れて言えば、彼女は頬を膨らませる

ほら行くぞと背を押すと赤也にばいばーいと手を振って歩き出した




「ほんで?今日はどうしたんじゃ?」

彼女はいつも俺に全てを話す

まるで妹のように

「一週間前に高校生に告られて付き合ったじゃん?」

一週間前に聞いた話だ

彼女は俺を特別に思っている

でもそれは一人の男としてではない

「さっき別の女の子とキスしててさー。びっくりして学校に戻ってきちゃった〜」

小さい頃から傍にいるナイトとして

護るために

「ほう。やはり色気が足りんのじゃな」

俺は隣を歩く彼女の頭を撫でる

「またダメだったね」

そして彼女は今日も涙を流す

「おまんにはわしがおるじゃろ。」

立ち止まり彼女を抱きしめる

そして彼女はいつもお決まりの言葉を言うのだ

「雅治はずっと傍にいてね」

俺もああ、とお決まりの返事をする

そしてこれもお決まりの愛の言葉

「わしにしときんしゃい」

強く抱きしめて囁く愛の言葉

だが今まで一度も、この愛の言葉を受け入れて貰えたことなどない




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