ねえ、本当は知ってたよ

アナタはもう私を見ていない

それでも私から別れを告げるなんて

出来なかったんだよ

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


一人暮らしの私の部屋に

二つの影が出来ている

珍しく家に行きたいと連絡を受けて

慌てて部屋の掃除をした

繋心は落ち着きなくしていて、言葉をかけられない

気まずさから台所へ逃げてホット珈琲を入れた

予想はついている

けれど覚悟なんて出来なくて

溢れだしそうな涙を懸命に堪えた

大きく深呼吸をしてから二つの珈琲カップを持ち

部屋へと戻る

彼の方は落ち着いており、貧乏揺すりが止まっていた

ああ、やだな

言わないで欲しいな

そんな葛藤を頭の中で唱えるけど

彼はまるでそれを裏切るかのように言葉を紡いだ

「俺達、別れよう」

申し訳なさそうに呟く君に

私は素直な女の子を演じなきゃいけないのに

「………やだ」

まるで子供のような駄々をこねる

アナタはやっぱり困ったように頭を掻いて

言葉を探すように俯いた

もうこれっきりなんて嫌

私は昔からアナタが好きだった

手放したくない

だって私達の5年間はそんなに簡単に消えたりしないから

私は小さく深呼吸すると膝立ちで隣まで行った

そして首に腕を回すと

一方的なキスを贈った

言葉なんて紡がせないように

沢山想いを贈った

けれど、申し訳なさと悲しさが入り混じった様な顔をするアナタは

決意を揺らがせることは無かった

「………っ」

彼をそのまま床へと押し倒すと

着ていたワイシャツのボタンを

一つ一つ外した

「………シて。これで最後」

そう言うとワイシャツを脱ぎ捨てた

彼は泣きそうな顔で私の唇を貪り始める



一つに繋がった時、彼は小さく

「ごめん」

そう呟いた

堪えていた涙が一気に溢れ出した

「……っ、繋心、大好きだよっ…

ずっと、ずっと…愛してる…」

彼の背中にしがみついて、ただひたすら

愛を語った

繋ぎとめたいと必死に願って





目が覚めると、隣には一人分の場所が空いていて

冷たくなっていた

「……っうぅ……けいしんっ…」

その現実にただひたすら涙が溢れた



END
→あとがき




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