それはとある練習試合での事

私はアナタに心を奪われ

あれ以来あなたの事ばかり考えています

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「あちゃー、トイレ行けたはいいけど体育館の入口見失っちゃった…」

言葉通り、私は練習試合でこの烏野へ来たものの

トイレから出ると場所がわからなくなっていた

「まあ、マネージャーだからいいけど。いや、でも監督に怒られる…」

独り言をぶつぶつ唱えながらそれらしい所を探すが

最早トイレが何処だったかすらわからなくなっていた

「困ったなぁ…」

そう頭を抱えていた所に、煙草の臭いが鼻を掠めた

「あれ?音駒のマネージャー?どうした?」

声のする方へ振り返ると、金髪でピアスを付けた

“いかにも”なお兄さんに声をかけられてしまった

「あ、えーと、音駒マネージャーの吉野です。

体育館の入口がわからなくなってしまって…」

申し訳無くそう言う

OBか、誰かのご兄弟かな?

そう思っていると彼は納得してくれたようで

ついてこいと手招きされた

その背中を有り難く追うと、ようやく目的の入口が目に入った

「助かりました!ありがとうございます!」

お礼をしつつ入口を見ると、猫又監督が私を探しているのが見えた

「監督!すみません、一人で行ってしまって」

そう声をかければいつも通りにこやかに返してくれる

「ああ、迷っていなくて良かった」

監督のホッとしたような顔を見てから、改めて金髪お兄さんに目を向けた

すると彼は烏野の選手に集合をかけていた

「あいつは烏野の監督、烏養繋心だ」

私の驚きに応えるようにそう言ったのは直井コーチだった

「烏養監督って猫又監督のライバルの?」

私が尋ねるとコーチは彼を睨みつけながら否定した

「あいつは俺と同級生だ。つまりあの烏養監督の孫」

そう言うとコーチは、重たい溜息を一つついた

私はと言えばそれ以来胸のときめきが抑えられず

いつもあなたの事ばかり考えています

だから、梟谷グループの合宿に烏野が参加すると聞いて

私は凄く嬉しかった


「真琴さん、最近ご機嫌ですね」

後輩のリエーフがいつの間にか居て、そんなことを言う

「ふふ、合宿が楽しみでね。それより夜久が探してるみたいよ?」

指を指してみると、彼は肩を竦ませて何処かへ行ってしまった

あの合宿でアナタと会えるのは今年が最初で最後

アナタともう一度話したくて

進展を楽しみにしてるんだよ





二人の恋はもう少し後のお話

それは別の機会にしましょう


END
→あとがき




Back 






「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -