こんなに寒い夜は

あなたの温もりで眠りたい

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ねー、今日寒くない?」

就寝前に同棲中の彼に言うが

彼は適当な返事を返し、DVDを見ている

バレーボールの試合のDVD

高校生が画面の向こうで汗を流して試合を進めているのが見えた

「あんまり詰めすぎないでよ。

実際に戦うのは教え子達なんだから」

私は彼の為にホットコーヒーを入れると

マグカップをテーブルに置いた

「わーってるよ。それでも何もしないでいられねーんだよ」

彼はタバコの火種を潰して消すと、コーヒーを啜った

私はその横に体育座りし、寄り添った

「知ってるよ。昔からそうだもん、繋心は」

私も自分の分のココアを飲む

テーブルに同じ様に置くと、彼はため息をついて私を見た

「先、寝てろって。俺はまだ寝ないから」

頭をがしがしと撫でられるけれど私は動かない

「やだ。明日休みだしいいの。

それに放っておくと朝まで見るでしょ?」

そう言い繋心の隣に寄り添う

画面には白いユニフォームの子達が声出ししているのがよく聞こえた

トスを上げたセッターはいかにもモテそうな感じ

顔が整っていて身長がそれなりにあって

そのボールをしっかり決めてガッツポーズをしている子は

強面だけど真面目でいい子そう

明日はきっと、教え子がこの子達と戦うんだろう

最近の繋心は監督業が板についてきた

何をしてても考え、よく話題になる

『セッターが天才で、小さいミドルブロッカーがよく飛ぶ』

彼は自慢気に語り、その姿は

高校時代のバレーをしている時を思い出させた


そんな風にぼんやりと画面を眺めていると唐突に身体が持ち上がった

驚いて原因を見やれば、彼はやっぱりため息を一つ落とした

「お前が寝不足になる前に寝るぞ」

鈍感な彼は今やっと私の意図を汲んだようだ

こんなに寒い夜には独りで眠りたくない

二人で寄り添って眠れば暖かいから

彼は私を布団に下ろすと毛布をかけて私を抱きしめた

「あったけえ」

その一言が嬉しくて

何より本当に一緒に寄り添って眠れて

幸せだなと感じた

「あったかいね、繋心」

そう言って抱きしめ返すと、彼は髪を梳いてくれる

「明日、休みなら試合見に来いよ」

額にキスを落とされながら言われたので

「いいよ。烏養監督」

唇にちゅっとキスを返して言った

そして暖かさに微睡み

私たちは眠りについた





END
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