※影山夢:いつかアナタを忘れる日まで

の続編になります。

そちらを先に読まれる事をお勧めします。





きっと私は今でもアナタが大好きです

でも前に進まなければならない

これが私の選択

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ナイスキー!」

体育館にシューズのキュッという音が鳴り響いている

みんな今日は調子が良いみたい

私はドリンクとタオルを用意しながらみんなの表情を見渡した

あの告白以来、私は無意識に勇を目で追う様になった

そして目が合うと逸らしてしまう

彼はこんなにも想ってくれていた

鈍感な私は影山しか見えてなくて気づかなかった

彼の名を、顔を、声を、仕草を

思い出す度に今でも、胸が締め付けられるけど

前より苦しさは和らいだ気がした

「今日はここまで。片付けてクールダウンすること」

入畑監督の声が響くと選手達の声も響き渡る

私も片付けに入り小道具をまとめて部室へ向かった

体育館に戻るとみんなが楽しそうに何かを話していた

「何の話ですかー?」

及川先輩を中心にみんなが集まっている

岩泉先輩が呆れ顔でこちらを見た

「クソ及川が、明日みんなで祭りに行こうってよ」

そう言うとぽーんとボールが飛んできた

それをレシーブして返す

最近の私はよくボールに触れる

軽いパス練

皆がたまに付き合ってくれて楽しい

「お祭りかー。岩ちゃん先輩、リンゴ飴奢って下さいよ」

返ってきたボールをオーバーで返す

オーバーでボールに触れると思い出すのはやっぱり飛雄の事

彼がトスを上げる時の気持ちを考えてしまう

いい加減忘れなきゃいけないのに

心の中で苦笑してみるけど、たまに目頭が熱くなる

「及川に言えよ。あいつ、この間彼女に振られたから」

それを聞いてどくりと心臓が鳴る

ああ、及川先輩もなんだ

仲間だなーと思うが、彼の周りにはいくらでも女の子がいる

きっと傷もすぐ癒える

「まじすかー!及川先輩奢ってください」

私は岩泉先輩とのトスを繰り返しながら声をかけた

「二人きりで行くならいいよ〜!」

遠目にウインクする先輩が見えて、露骨に嫌な顔を見せた

「え〜、じゃあいいや」

岩泉先輩がボールをキャッチしたのでここで終わり



「真琴、帰るぞー」

勇が私を呼ぶ

いつも通りの事なのにどうしてだろう

変に緊張して、返事が上ずっている

呼ばれた方に駆けて行き、残っているみんなに

“お疲れ様でした”と声をかけると、体育館を出た




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