私はアナタが大好きです
だからアナタが欲しいなら
貰ってください
私のことを
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「おい、真琴」
学校からの帰宅途中
家がお隣さん兼、私の恋人である若利は私の手をぎゅっと握りしめた
「ん?なに?」
私は顔を上げて彼を見るとぎゅっと握り返した
「ご両親は今日、旅行でいなかったよな?
うちの親が、“危ないから泊まりに来い”と言っていた」
真顔でそう言われ、どくんと心臓が鳴った
私の両親はよく二人で、旅行へ行ってしまう
その度に彼のお母さんは
「女の子が家に一人なんて危ないわ」
と言って泊めてくれる
ただ、今は彼と恋人関係なので素直に喜んでいいのか迷ってしまう
「あー、うーん。私ももう高3だし、そろそろ甘えるわけには…」
そんなことを言いつつ、私たちは人通りの少ない道をゆっくり歩いた
「気にするな。いつも通り来ればいい。
母もその方が安心するしな」
彼は顔に似合わない笑みを見せると
どうする?と顔だけで尋ねてきた
その笑顔はずるい
不覚にもときめいてしまい、素直に頷く事しか出来なかった
△▼△▼△
私は夕飯を頂くと、一度家に戻り
お風呂に入ってから牛島家に再度お邪魔した
「いつもすみません。お邪魔してしまって」
若利のお母さんにそう詫びると、彼女は揚々としていた
「気にしなくていいのよ!あ、ベッドはいつも通り若利の部屋のを使ってね」
にこにことそう言うと、彼女は見ていたテレビへと視線を戻していた
そう
私がここへ泊まる事を躊躇うのは、これが原因なのだ
「お、お邪魔します…」
扉を開くと一人部屋には似合わないダブルベッドが置かれている
若利が小さい頃、お母さんと一緒に寝ていたベッドだと言う
私が頻繁に泊まるので、若利の部屋に設置されてしまったのだ
「真琴、髪が濡れているぞ」
彼がそう言い、手招きするので
私は彼の脚の間へと座った
いつもこうして髪を拭いてくれる
それが心地よくて、結局いつも泊まってしまうのだ