私たちは友達の様に仲がいいけど

ちゃんと恋人なんです

お互いがちょっと不器用なだけで


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「おい、龍!あたしのポッキー食ってんじゃねえよ!」

今日は龍の家に遊びに来ている

「あー?うっせえな他にもあんだろお菓子なら」

そう言ってさっき買ってきたコンビニの袋をひっくり返す

「まーいいけど。……あ、ソーダは飲むな!!」

そう言ってペットボトルの飲み物を死守する

龍はため息をついて自分の麦茶に口をつけた

「お前さー、少しは女らしくなんねーの?」

そう言った龍は私を凝視している

Tシャツに短パン、言葉遣いは雑、

胡坐で漫画を読んでいる私

龍はやはりため息をついた

「ほんとに、女かよ」

私は珍しくカチンときて

「それを彼女にしてんのは誰だよ」

そう言い返す

龍は何かを言おうとしたが、口を噤むとそれきりだんまりを決め込んだ

「何だよ龍。そういう子がいいのかよ」

私は皮肉めいた笑みを浮かべると俯いた

確かに、短パンにTシャツで雑な言葉遣いをする女より

清水先輩の様に綺麗で所謂イイオンナの方が

彼女にしたいに決まってる

それでも私は

「私は龍しか見えてなかったんだけどな」

知らぬ間にぽつりと口にすると

龍は驚いて動きを止めた

恥ずかしくて更に俯けば向かいに座る龍が立ち上がる気配がした

ああ、気持ち悪いと幻滅されたかも

そう後悔を始めた直後に、龍の匂いが鼻をかすめて

次に抱きしめられていることに気づいた

「あー、今のは来た」

そう耳元で聞こえて、それから私の心臓は鳴りっぱなしで

まともに彼の顔を見られない

「龍が望むなら頑張ってみる」

覚悟を決めてそう言えば彼は首を横に振った

「やっぱいいわ。お前はお前らしく俺の事を好きでいろ」

そう言った龍の口は、答えようとした私の口を塞ぎ

私を強く抱きしめてくれた


このままの私を好きになってくれたアナタに

私はこのままで応える

それが私からアナタに贈る愛だと

そう思ってる



END
→あとがき






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