私はアナタに甘えていた

きっと全て分かってくれるって

それが修復不可能になるなんて

あの時は思わなかった

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「あ、さとるちん!そのお菓子ちょーだい!」

私は返事も聞かずにお菓子に手を伸ばす

だが、その手をしっかりと掴まれた

「ダメに決まってんだろー。お前全部食っちまうじゃん」

彼は友達

よくお菓子を食べる仲

「さとるがくれるワケねーじゃん。俺のやるよ」

彼も友達

基本的に女の子に優しい

「わーい!ゆったん大好き〜!」

そう言って貰ったお菓子を頬張る

「真琴最近太ったって言ってなかった?」

この子は私の親友

「あ、それ言わないでよ〜加代!」

私はお腹周りを触りながら落ち込んだ

これが私の周りの友達

ずっと一緒にいた私の親友達

「あ、吉野さーん!菅原君来てるよー」

クラスメイトが私を呼んでいる

出入口を見れば私の彼氏、菅原孝支がそこにいた

「はーい!ちょっと行ってくる!」

仲間にそう言って私は孝支の元に駆け寄った

「どったの?教科書でも忘れた?」

笑いながらそう問えば、彼は苦笑し

「話があるんだ」

そう言って、私を連れて屋上に出た

この寒い季節に屋上に出る人なんて居なくて

私たちはふたりきり

「真琴」

彼が真剣な目で私を見ている

「なーに?」

わかってる

孝支が何を言いたいのかなんて

「いくら友達でも男だべ。ベタベタ触りすぎだし、大好きなんて言って欲しくない」

今まで何度も言われた言葉

「幼馴染みだよ?仲がいいだけじゃん」

私も今まで何度も言ってきた言葉

私たちはもうずっと

この不毛な言い合いを続けてきた

「やっぱり真琴はそう言うんだね」

彼はそうやって諦めたようにいつも笑う

だから今日もこれで終わりだと思っていた

「別れよう」

私の思考が鈍る

今立っているのが上だか下だかわからなくなって

「え…?」

言葉を発するのがやっとだった

「俺達多分理解し合えない。だからごめん」

孝支は私をぎゅっと抱きしめると

「さよなら」

そう言って去っていった

泣き崩れた私を見つけたのは

やっぱり仲間で

私はどっちかを選ぶことなんて出来そうに無かった

笑い合って歩いた彼の隣は

今は私じゃない子がいる

それがアナタの幸せであっても

私には素直に喜んであげられる気持ちはない

「私はどこで間違えたのかな?」

溢れる涙を止められずにそう言えば

「間違えたんじゃない。歯車が噛み合わなかっただけ」

そう答えて頭を撫でてくれる親友に

「愛してた――――!!」

そう泣きつくことしか出来なかった



END
→おまけ




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