切っ掛けは交換条件

でも、もっと私を好きになってください

先生

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「せーんせっ!今日もかっこいいですね!好きです!」

私はいつものように武田先生に愛の告白を贈る

今のところ58戦58敗と大失恋を記録中

真面目な先生はいつも凄く悩んでくれて

この時ぐらいは私の事だけを考えて欲しい

なんて我儘な感情を抱いている

「ははっ、ありがとう。今日はどこが聞きたいのかな?」

今日はさらりと流され、59戦59敗の記録を更新した



毎日わからないことを聞きに行くのはただの口実

優しい先生は気づいていて見ないふりをしてくれる

「ここです。」

私は予め適当なところに付箋を貼りマーキングしていた場所を見せる

現代文でわからないことなんてないけど

先生に会いたいんです

お昼休みのこの時間が一番好き

私は先生の横の椅子に座り、先生の声を聞く

内容はまるで頭に入っていないけど

語り掛けるような教え方が大好き

けれどその声は途中で区切られた

「あの、邪魔してごめんなさい。」

振り返ると黒髪の綺麗な人が立っていた

「あ、いえ、どうぞ。」

私は立ち上がるとその場から離れた

その子と先生が並ぶと大人なカップルみたいで少し妬けてしまう

何を話しているんだろう

こっそりと聞き耳をたてる

「……そっかー。じゃあ僕の方から一人声をかけてみるよ」

その言葉で、あの綺麗な人は頭を下げて出ていった

それを見送ると、先生はこちらに目を向け

「ちょっと進路相談室に行きましょう」

そう言った

デスクから何枚か書類を取り出し、先を行く先生に慌ててついて行った

進路相談室に入ると先生はきっちりと鍵を閉め、椅子に座った

目の前の椅子を勧められたので私も座った

「あの…私、何か…?」

恐る恐る尋ねてみると、先生は少し考えたあと

意を決したように私に話を始めた

「吉野さんは確か部活動をしていないですよね?」

そう言われ私はこくりと頷く

「唐突なのですが、男子バレー部のマネージャーをやって頂けませんか?」

先生は真面目な顔つきでそう言った




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