あなたは自分の価値を理解してない

私達にとってどれだけあなたが必要か

私にとってどれだけあなたが必要か

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「龍の部屋汚いんだけど!!」

今日は部活の2年生だけで、龍の家に勉強しに来ている

「うっせーよ、ポンコツマネ」

龍はおぼんに乗せた飲み物をテーブルに並べながらそう言う

「はあ〜!?教えに来たのに!!」

私は荷物を置くと溜息をついた

「まあまあ。助かるよ、木下も成田も来れないって言うしさ」

力が私を宥めようとしているので仕方なく怒りを抑えた

「真琴は力の言うことだけはよく聞くよなー」

夕はテーブルに教科書を広げながらそんなことを言う

「当たり前じゃん。長い物には巻かれろ精神なのよ私は」

そう言うと私もテーブルにノートと教科書を広げた

本当はね、好きだからだよ

なんて事は口が避けても言えない

ふと思い出した、大地先輩からの伝言を口にする

「ねえ、来年の部長候補は誰にするつもり?」

大体は決めておけと言われたその言葉

「え?そういうのって今の3年生が決めるんじゃないの?」

それは私も先輩に尋ねた

力から同じ言葉が来たことに嬉しくなりながら、先輩の返答をそのまま口にした

「来年のチーム引っ張るのは今の2年生だから、意見は尊重するよーだってさ」

私がそういうとみんなは口を噤んだ

3年生のいない部活なんて想像したくないよね

「ま、今すぐ決めろって言われたわけじゃないし…」

私は空気を変えようと、明るく言ったが

「俺は力しかいねーと思う」

空気を変えたのは夕の一言だった

「まあ、だな。のやっさんはリベロだから出来ねーし、俺は向いてねーし。」

龍もそれに乗っかる


「まあ、そうだよねー。だろうと思った」

そこで話は終わりだとばかりに区切ったつもりだった

「いやいや、待って!待って!」

だが力は、まだ話は終わってないとばかりに身を乗り出した

「何さー?」

私は麦茶を飲みながら力の顔を見た

彼の顔は俯いていて、そこには翳りがあった

「俺は一度逃げ出した。そんなやつに部長なんて任せるべきじゃないよ」

苦々しく吐いた言葉に私達は揃ってキョトンとする

「でも戻ってきたじゃん?」

私がそういうと二人も頷く

「でも、逃げ出した事実は変わらない。」

力の翳りは増していく

けれど本人は全くわかっていない




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