私たちは同じ人に憧れ、お互い同じ気持ちであり

まるで友達みたいだけど、そんなに純粋な関係でもないの

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「「今日もお美しいです!潔子さん!!」」

廊下で響く私と夕と龍の声

「…………」

潔子さんは心底面倒くさそうに無視を決め込んで

そのまま教室へ戻ってしまった

「無視たまんねーッス!!」

私と夕はまだあの域には達していない

龍は最先端を走っているのだろう

「龍すげーな…無視に悦んでいるよ…」

私がそう言い、龍に対し尊敬の眼差しを浮かべていると

夕は浮かない顔をしていた

「夕?」

声をかけると、不貞腐れたような顔で私を見つめ

「龍。先に教室に戻ってて」

そう言い残すと私の手を引いて何処かへ歩き出した

大人しくついて行くと、屋上の扉を開いた

屋上に出ると、扉に鍵をかける夕

なんだかおかしい

そう思い見つめると、腰を下ろして自分の膝の上をぽんぽん叩いている

私は遠慮なく夕のあぐらの上に座る

すると後ろからギュッと抱き締められた

「ねえ、夕。どうしたの?」

私の前に回された手に自分の手を重ねて尋ねた

「……。俺だけを見ろ。」

夕は私の耳元でそう囁いた

私は無理矢理横向きになると夕の顔を見た

「私が夕と潔子さん以外を見たことある?」

そう尋ねたが、彼は苦笑いをした

「いや、ねーな。でも、先のことはわかんねえ。龍にはやらないから」

そうまくし立てると、唇がチュッと触れた

嫉妬してくれたのだと思うと胸がきゅーっと苦しくなった

愛くるしい苦しさだ

「私は夕しか好きにならないし、夕としかこんなことしない」

そう言うと自分から夕の唇に触れた

チュッチュッと何度も軽く触れると夕の頬が少し緩んでいるのがわかる

不安は払拭出来たらしい。そう思い離れようとしたが

彼はそれを許してくれなかった

「……んんっ……ふぁっ……」

夕の両手が私を離さないとばかりに回っている

後頭部を押さえつけている手のせいでロクに息もできない

先程とは違い、舌と舌が絡み合う深いキスで

私は殆ど酸欠状態だった。目尻に涙が浮かぶ

「んっ……はぁっ……夕、好き」

酸素の足りない頭でそう言う

次の瞬間には地面に背中をつけていた

そしていつの間にかワイシャツが少し乱れている

「あ、だめ!……んっ…夕…」

彼は私の素肌にキスの雨を降らせた

その暖かな唇が肌に触れる度に、私の身体はぴくりと反応してしまう

夕の目を見つめると目つきが変わっていた

そして、冷静に私のワイシャツのボタンを閉めている

「……ん?……夕さん?」

ぼんやりしていた頭がパッと晴れた

「続きは帰ってからな。」

そう囁き笑う彼をみたら、何だかどうでも良くなって

私も笑顔で返した

「好きだよ。夕。」

彼の大好きな言葉、返してくれる言葉も知っている

「俺も。好きだ、真琴」

男友達に見られがちだけど

私たちの恋は静かで暖かいです


END

→おまけ




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