「はあ……はぁっ……」

軽く走ったので息を整えていると、大地は手をきゅっと握り締めてくれた

「今日は随分おかしなことをするな」

息一つ乱していない大地は快活に笑う

「大地。好きだよ。」

突然の私の告白に大地はついてこれなかったらしい

「どうしたんだよ、幼馴染みなんだからそんなこと言わなくても…」

戸惑っている

畳み掛けるように私は、大地の言葉を遮った

「優しくて、真面目で、バレー馬鹿で、努力家で、前向きな大地が好き。
昔からずっと、大地だけが大好きだよ」

言い終わると同時に私は大地に抱き締められた

「お前なぁ…いきなりそういうのは反則でしょ」

軽く溜息をついているが抱き締める手は緩まなかった

「私ね、道宮さんに嫉妬してた。バレーボールって共通点だけで傍にいる彼女に。でもそれってフェアじゃない。私が当たって砕けないと嫉妬する資格なんてないから。」

ぽつりぽつりとそう零せば、彼はまたも大きく溜息をついた

「あのなぁ、道宮とはそういうのじゃないし。…第一、お前は旭の事が好きなんだと思ってたよ。ずっと仲良かったし」

そう言われ彼もまた誤解してたんだと思うと笑えた

「ふふっ、東峰と話すきっかけは大地が作ったんだけどね」

私の言葉にまあなと苦笑いをしているのがわかった

私の緊張は、大地に抱きしめられ

大地の鼓動のリズムで落ち着いた

「俺も、真琴が好きだ。小さい時から、今でもずっと。」

私は耳を疑った

「え?」

顔を見ようと胸を押し返そうとするが、それを拒むように強く抱き締められた

何だか現実味が無かったけど、私を包む暖かさが“これは現実だよ”と教えてくれた

宙ぶらりんにしていた両手を恐る恐る大地の背中に回すと

もっと強く抱きしめ返してくれた

ずっとこれを望んでいたのだと

顔を上げると、私達は初めてのキスをした

軽く触れるだけの短いキス

大地からしてくれたのだと気づくと

私は最大の笑みで大地を見た

「大地。大好きだよ。」



END
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