今日は部活がお休み

なので、学校が終わるとすぐに家に帰った

母に浴衣を着付けてもらい、暫く髪型に悩んだのに

待ち合わせの時間より20分も早く着きそうだ

携帯の時計に目を向けてそう思ったが、足取りは軽かった

早く会いたいな

そう心の中で呟き、待ち合わせの時計台へ向かうと

そこには既に勇がいた

「あれ?早いね勇」

そう声をかけると、彼は私を見て口を開けたまま惚けた

「あ、いや、早く会いたくて。

……てか、やべえ。すげえ可愛い」

勇から心臓に悪い言葉がぽろぽろと溢れて

私の方が照れてしまった

「気合入れてみたの。

変じゃなくて良かった」

そう安堵の言葉を口にすると、彼は顔を赤くして微笑んだ

「似合ってる。……行くぞ」

そう言い、私の手をそっと握った

私はそれをしっかりと握り返して、隣を並んで歩いた



出店のある所は人が多い

「うわー、結構人多いね」

長時間居たら人酔いしそうだな

そう思いつつ出店を見る

「何食べる?」

私がそう尋ねると勇は少し考えた後、外れた道を進んだ

そこには人の殆ど居ない、神社の境内があり

階段に座って待っててと言われた

人混みが苦手なのを知っていたんだろう

そんなことに一々にやけてしまう

「適当に買ってくるから、ここ動くなよ」

彼はそう言い残すと人混みの中へと消えていった

ふうっと一息つく

慣れない浴衣と下駄だったので安心した

かと言って何をする訳でもないので、ぼーっと人波を眺めた






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