若利が私に手を出したことは一度もない

それは彼の誠実さを良く表していると思う

けれど最近思うのだ

こんなに近いのに一度もそうならないのは

私に色気が足りない所為だと

「ねえ、私って色気ないのかな?」

髪に触れる彼の手で心地よくなり、つい考えていたことが口に出た

「……?色気?」

彼は手を止めるとそう言う

きっと顔はキョトンとしているだろう

「い、いや。ダブルベッドに一緒に寝てるのに、手を出されたことないなって」

照れくさくて彼の顔が見られない

破廉恥な女だと思われたかな

そう脳内で問答していると、後ろからぎゅっと抱きしめられた

「シたいのか?」

彼の息が耳に掛かり、耳元で囁かれたことにドキドキした

「ち、違うの!ホントは怖いんだけどね、もし若利がシたいなら…」

言っていて我に返ると、とても恥ずかしい

顔に熱が集まり次の句が継げない


すると若利は私の首にちゅっとキスを落とした

「ひゃっ!?」

一気に心拍数が上がり、身体が熱くなっていく

次に何が来るかと身構えたが何もこない

「さあ、寝るぞ。明日も朝練があるからな」

彼が私から離れ電気を消した

暗闇の中、私はぽつりと零した

「やっぱり色気ないの?」

そう言うと手を取られベッドへと倒された

けれど、想像していたものと違い

彼も私の隣へ寝転がり布団を被ってしまった

「真琴、これから長い間ずっと一緒にいるのだ。

今、焦ってシようとは思わない。

俺はこっちで十分だ」

そう言うとベッドの中で私をぎゅっと抱きしめた

そして片手を絡ませて見つめ合う

「愛しているから、お前の準備が出来るまで待つ」

優しくそう言われ私の脳内はくらりとした

「ありがとう。……愛してるよ」

そう言うと、彼は私の額へキスを落とし

抱きしめ合ったまま眠りについた




大事にしてくれてありがとう

純粋にアナタの温もりを感じて眠る夜が

私は大好きです

もちろん、アナタの事も大好きです




END
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