「構わないけど」
自分の態度が憎らしかった
「ほんとに!?良かった〜!じゃあ、連絡するね!」
そう言い可愛らしく手を振ると、教室に戻っていった
私も手だけは振り返して、そそくさと自分の教室に戻った
席に戻るとまた机に突っ伏した
「また寝るのかよ…」
東峰が隣でぼそりと呟いたので思い切り睨んでやった
「疲れたの」
そう言うと溜息を一つついた
「どうした?」
東峰は声を潜めてこっそり尋ねてきた
「道宮さんが男バレの試合一緒に見に行こうって」
その言葉に一瞬キョトンとしていたが、脳内で解決したらしく苦笑いをしている
「あー、うん。そっか」
彼は弱々しいが察しが良くて好感が持てる
「嫌いじゃないけど、今は好きになれない」
そうぽつりと呟くと、私は午後の授業も不貞寝で過ごした
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試合の前日
大地に応援メールを送ろうと携帯に手を伸ばしたが
その絶妙なタイミングで道宮さんからメールが届いた
“明日、待ち合わせて一緒に行こう〜!8時に駅前待ち合わせで大丈夫かな?”
私の不快指数は一気に跳ね上がり、メールなんてどうでもよくなってしまった
わかった。とだけ返事をし、そのままベッドへ突っ伏した
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌日
私は8時ちょうどに駅についた
そこには道宮さんとその友人(名前は知らない)2人が居て
一緒に電車で会場まで向かった
会場に到着すると中でアップをとっている大地が見えた
声をかけようとしたが、隣の道宮さんの方が早く声をかけていた
「澤村!」
ああ、一緒に来るんじゃなかった
早くも後悔をして、駆け寄る彼女を追った
「おー。来てくれてありがとなー。」
笑顔でこちらに反応する大地を見て、少しのモヤモヤが晴れた
だが、また一瞬にしてそのモヤモヤは私の心を覆った
「あ、あのね!これ!」
両手にちょこんと乗っているお守りらしきものを大地に差し出している
ああ、ずるいなあ
「おっ、ありがとな!頑張らなきゃだな!」
そう快活に笑う彼の目は私の方に向いていない
しっかりと道宮さんを見つめていた
逃げ出したいな
そう思い拳を強く握りしめていると、東峰と菅原がこちらへ来た
「まぁ、うん。気にしなくていいと思うよ」
菅原がフォローしてくれたが、気は晴れない
「気にするよ。デキてんのかって感じ。」
今までで1番低くドスの効いた声が出た
優しい菅原は苦笑いを漏らし何も言ってこなかった
しかしその返事は東峰から聞こえた