だが、私の返事は決まっている

「嫌です」

それを聞くと、先生は苦笑いをしながら頭を掻いた

「えっと…即答だね…」

そこで私は我に返り、ひたすら平謝りをし続けた

「すっ、すみません!私、中学時代バレー部でして…怪我でもう出来ないので距離を取ってまして…」

慌てて言い訳をしてみると何だか可哀想な子みたい

ちょっと後悔をしていると先生は慌てて謝罪をしてくれた

「ご、ごめんなさい!そうとは知らず…」

肩を落としているのが、目に見て私にはわかった

男バレはマネージャー不足なのだろうか

さっきの女の人もマネージャー?

私は胸のモヤモヤが晴れ、嫉妬心がなくなった

そして名案を思いついてしまった

「いいですよ。」

そう言うと先生は顔を上げ、驚いて私を見た

「その代わり条件があります!」

私がそう言うと、先生はごくりと喉を鳴らし続きを促した

深呼吸をして覚悟を決めると口を開く

「私の告白に本気で返事をください」

真っ直ぐに先生の目を捉え反応を伺った

彼は心底驚いて目を丸くしている

だが、私が本気だということが伝わったのだろう

小さくこくりと頷いた

私はそれを確認すると、いつも口にしていた言葉を吐き出した

「先生。私、先生のことが好きです。付き合ってください」

私は声を絞り出すと彼の答えを待った

先生は教師で、私は生徒

希望がないのはわかっている

「いつも想いを伝えてくれてありがとう。僕は教師だし、君とは一回り歳も違うし、公には付き合えません。
一先ず卒業までは。それでも君は僕と付き合いたいですか?」

授業を教える時と同じように、優しく尋ねられる

でも、私の応えは一つ

「勿論です。私は優しくて、真面目で、時々天然な先生が大好きです。先生意外の人のことは好きになれません。」

これが今の私の本音

子供の戯言だと思うかな?

そう思ったけれど先生から出た言葉は全く違った

「僕は教師失格です。可愛い教え子から何度も好意を伝えられるたびに、内心喜んでいたのですから」

その言葉に、今度は私の方が目を丸くした

「この先問題は山積みですが、一緒に解決してくれますか?」

その言葉に私は涙がこぼれた

先生は慌ててハンカチを取り出している

私の目にそれを当てた瞬間、私は先生に抱きついた

「………っ!」

先生が息を呑んだのがわかった

急速に心音が速くなるのを感じて

先生も同じ気持ちでいてくれたことに嬉しくなった

「大した問題じゃありません!」

きゅっと抱きしめてそう言うと、先生はふふっと笑った

そして抱きしめ返してくれた

「では、交換条件は成立ですね」

彼は私にそう言うと頭を撫でてくれた

そして入部届けを手渡された

「はい!全力で頑張ります!」



私達の始まりは交換条件だったけど

それはただの切っ掛け

60戦 59敗 1勝

私はこの1勝の為に59敗してきたんです



END

→おまけ




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