「力は自分の価値を理解してない。」

近くにあったポッキーを食べながらそう言う

「いい?3年生が引退した烏野はどうなると思う?」

私がそう尋ねると力は小首を傾げる

「このアホ2人を筆頭にした動物園になる」

私は持っていたポッキーを二人の方へ向けた

力は苦笑し、当の本人らは不本意そうな顔をしている

茶々が入らないことを確認してから私は続けた

「それを統率出来るのは木下でも成田でもなく力だと思う」

真顔でそう言えば彼はもごもごと何かを言いたそうにしている

「力。私は力になら安心してついていけると思ってるよ」

本音をぶつけると、彼は照れたように俯いた

「イチャイチャしてねーで、勉強教えてくれー」

夕はもう話を続ける気は無いらしい

「しょーがないから教えてあげる」

私は夕のノートにペンを走らせ話に終止符を打った



△▼△▼△▼△▼△▼△▼


「んじゃ、また明日ー」

私と力は二人に手を振って帰路についた

コツコツとなるパンプスの音以外、私達の間に音はなかった

その間に耐えられなかったのか、力がぽつぽつと他校の話を始めた

青城に勝ちたいとか音駒と公式戦で戦いたいとかそんな些細なこと

そんな会話の中で、彼はふと思い出したように話題を変えた

「真琴は俺にならついてくるって言ったよね?」

力は私の顔を伺うように見つめてきた

今思うと告白みたいだと思って顔が熱くなる

「う、うん。言った。」

何だか急に恥ずかしくなってどもってしまった

自分の気持ちを見透かされた様な錯覚を抱く

「それは部長として?それとも…」

彼も言っていて恥ずかしくなったのか言葉を途中で切った

私は力が好きだ

その力が言葉の意味に期待をしている

なんと切り出そうか頭を悩ませていると彼が立ち止まった

私も立ち止まり振り向く

この道は夕日がとても綺麗に見えるのに人通りが少ない

意識をしたら、私の心臓はどくんと高鳴った

「俺はもう一つの意味があるのか知りたい」

力の顔は夕日に照らされて赤く染まる

それが夕日のせいじゃないと気付くのに時間がかかったが

絞り出すように言葉を紡いだ

「……ある。わたしっ…!」

覚悟を決めて告白を口にしようとしたが、それを力の指が阻止した

細く長い指が私の口に触れて、緊張の余り頭の中は真っ白になる

「ごめん、続きは俺に言わせて」

顔を上げると、力の目は私の目を捉えていた

私の口元から指を離すと、深呼吸してから力強く

「俺は真琴が好きだ。」

そう言ってくれた

「………!!」

私の気持ちは言葉にならなくて、思わず力に抱きついた

そして必死に頷いた

彼に伝わったのか、抱きしめ返してくれる

その身体が暖かくて

私の鼓動は高鳴るばかりだった



時期部長には力が適任で

私には力が適任だ

だから胸を張っていて欲しいと

そう心の中で思った


END

→おまけ




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