「わーたぬきっ」
 「うわっ
  ざ、残夏!?」
 「うわって何…傷つくなぁ…」

 目を覚ましたら、愛しの恋人がいた。

 どうして、とか思いながら飛び起きると、残夏は拗ねたような顔をした。

 「今日、出かけようって約束してたじゃん、なのに寝坊?」
 「ごめん!!ほんっとごめん!ねぼうするつもりとか、全然なかった!」


 本当に寝坊なんてするつもりはなかった。
 ただ、昨日楽しみすぎて寝れなかったんだ。

 その結果がこれ。
 
 残夏、怒ったかな…。

 「渡狸が悪気ないのくらい分かってるよ〜
 ほら、早く準備して行こ?時間勿体無いしね☆」
 「…分かった、ちょっと待ってて。
 ほんと、寝坊してごめん」


*・*・*


-ペットショップ。


 「渡狸〜これどぉ?」

 残夏が満面の笑みで差し出してきたのは…

 「首輪!?いらねーよ!!てか何でペットショップ!?」
 「もちろんラスカル用のグッズを買うためだよ☆」
 「俺はラスカルじゃねー!!何なんだよもう…」

 残夏が買い物をする、と言ったから付いてきたけど、…なぜペットショップ?

 しかもめちゃくちゃ笑顔でペット用の商品を持ってくる。


 …残夏の笑顔は好きだけど、こればっかりは勘弁。

 でもちょっとくらいは、遊ばれてやる。


*・*・*


-ファストフード店


 ボクがハンバーガーを食べようとしたら、目の前の渡狸が笑いを堪えてた。

 え、何、ボクおかしい?

 「何で笑ってんの…」
 「いやーだってさ、ハンバーガーを一口サイズにして食べる人って珍しくね?」
 「そうかなぁ?」

 ボクはハンバーガーを食べるとき、一口サイズに千切って食べる。
 
 その方が食べやすいし、汚れないし…そんなに変かなぁ?

 「なんかさ、そうやって食べてると…かわいいよな」
 「!?」

 渡狸がさらりとそんなこと言って、柄にも無く紅くなる。

 「渡狸のクセに生意気」
 「はぁ?何でそうなるんだよ」
 「てか、ボクなんかより渡狸の方がかわいいし」
 「……っ」

 今度は渡狸が紅くなる番。

 …やっぱり渡狸のほうがかわいいよ。


*・*・*


-映画館


 昼食のあとに見に行った映画では、渡狸は熟睡していた。

 そりゃあ疲れるよね。
 昨日、なかなか寝付けなかったの視えてたし。

 でも、眠れないくらいボクと出かけるのを楽しみにしていてくれたんなら、嬉しい。


 「渡狸〜映画終わったよ〜?」
 「…っあーごめん!つい寝ちまった…ごめん
 …ってなんか朝と同じだな」
 「いーよいーよ。字幕って眠くなるしね〜ラスカルお子様だし☆」
 

 からかう様にそう言うと、渡狸は顔を真っ赤にして怒ってきた。

 「俺はラスカルでもお子様でもねーよ!」
 「はいはい、分かってるよ〜」


*・*・*


-帰り道


 「楽しかったね〜☆」
 「最初のペットショップ以外はな」
 「えぇ〜?ボクはペットショップも楽しかったよ?」
 「俺は楽しくない!…でも」

 急に渡狸が頬を紅くして、ボクは渡狸の顔を覗き込んだ。

 「…その、ざ、残夏と出かけられたのは、…嬉しかった」

 真っ赤にしながらそんなことを言われれば、もう愛しさは溢れ出してとまらない。

 「君、可愛すぎでしょ…」

 愛しの恋人に抱きついた。






空色の本棚。様の1000hitフリリクに参加させて頂きました!
2人とも可愛い……!!
最後の渡狸のデレに悶えました///


up:2012/04/11

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