イライラする。
 だけど、それを顔に出さないように笑顔を張り付けて、その光景を見やった。
 少し離れた所には、蜻たんと渡狸。からかう蜻たんに渡狸が顔を真っ赤にして怒鳴っているようだった。
 ただの日常風景だ。
 ……それにすら苛立つのは、仮面で隠された蜻たんの目がボクと同じであることを知っているから。
 しかも、厄介なことに蜻たんに限った話ではない。ときどきだけど、そーたんも渡狸を見ている。最近はレンレンもか。

 ホント困る。
 勝手に手出そうとしてる彼らもムカつくけど、それ以上に渡狸に。
 どうしてあの子は自分に向けられる視線に気付かないのかな。あまつさえ、あんな表情まで見せて。キミの恋人はボクだというのに。
 やっぱり、思い知らせなくちゃいけないね。
 キミは、誰のモノなのか。

「ラスカル〜ボクそろそろ部屋戻るよ〜?」
「あ、待て! 俺も!!」

 席を立つと、慌てて渡狸が後を追ってくる。
 ああ、可愛いなあ。
 でも、だからこそ、かな?

 ボク以外に気を許さないように、お仕置きは必要だよね。



***



 部屋に来るかと訊くと、渡狸はこくりと頷いた。
 ホントに鈍感で素直な子。そこが可愛いというのはあるけど、まあそれはその目に自分しか映っていないのが前提だ。

「……残夏?……っ!?」

 部屋に入るとすぐ鍵を閉めたことに不思議そうな顔をする渡狸を、寝室まで引っ張っていって乱暴にベッドへ突き放した。
 ネクタイを外して起き上がろうとする彼の両手を頭の上で縛り、身動きさせないようにする。

「ちょ、何すんだよっ?! 外せ!!」
「駄目だよ……渡狸、ごめんね? 今日は泣かれても優しくできないから。」

 そう囁くと、渡狸はびくりと身体を震わせた。
 怯えてる? そうだとしても、やめてあげないけど。

 だって、これは、


 ボクのモノだ。




End




リクエストありがとうございました!!
お仕置きまで辿り着いてませんが(汗)
リクエストされた方のみお持ち帰りOKです。


up:2012/04/05

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