課題を教えてもらおうと思い残夏を探してラウンジのドアを開けると、若干不思議な光景に出くわした。
 端っこのテーブル、そこに反ノ塚、御狐神、蜻蛉、そして残夏が集まっていたのだ。
 カルタや他の住人はいなくて、その4人だけ。何となく違和感があって仕方ない。というか白鬼院がいないのに御狐神がいるのが一番の原因だろう。いつもはべったりくっついてるのに。主人をほっとくほどの大事な話でもしてるのか?
 声も掛けづらくてとりあえず状況を把握しようと、バレないように豆狸の姿になってテーブルに近づいた。

「……ですから、僕は譲りませんよ」
「ふん、浅ましい考えだな双熾よ」
「いくらそーたんでも今回ばかりは同意できないな〜」
「とにかく絶対こっちの方いいって」

 何かもめてる……?
 どういうことか、とさらに盗み聞きを続けると。

「いや、認めません!




 渡狸さんに一番似合うのはメイド服ですから!!」

 …………。
 は?
 待て、今のは空耳か?

「シックな膝上丈のメイド服に包まれてこそ彼の細さ、可愛らしさが引き立つというものです!」
「いやいやいや分かってないなミケ。大体メイド服だとしてもさ、普通超ミニで生足出させるんじゃないの?」
「分かっていらっしゃらないのはお兄様の方ですよ。そこまで露骨だと逆にいま一つです。あとメイド服にはタイツが基本でしょう。」

 あれ? 御狐神ってこんなキャラだったっけ?
 結構長い付き合いだけど……
 つーか反ノ塚まで何言ってんだ? 超ミニメイド服って……え?
 思わず固まっていると、聞き慣れた残夏の声がした。

「そーたん、渡狸はそんなの着ないと思うよ〜? 文化祭でだいぶ懲りたみたいだしね」

 よく言ってくれた!! さすが残夏!
 やっぱ残夏が俺のこと一番知ってるんだな。ちょっと感動した。
 と、思ったのに。

「メイドさんもいいけどやっぱナース服でしょ☆ あ、ちなみにガーターもセットね。風邪引いたフリでもして看病にかこつけて着てもらって、そこからのお医者さんごっことか最高じゃないv」

 ざんげええええええええええ??!!!
 開いた口が塞がらない、という諺を初めて実感した。
 ちょ、おま、せっかく頼りになると思ったのに!
 もう残ってるのは蜻蛉だけ。
 頼むこいつらを止めてくれ、と心から祈る。
 だが、こっそり蜻蛉の表情を窺うと、にやりと形容するような悪い笑みがそこにあって、何となく彼が言わんとすることを悟ってしまった。

「ふむ……こうなれば、卍里にどちらも着せればよいのではないか?」

 ああやっぱりそうなりますかそうですか。
 うん、逃げよう。
 自分の中で結論を出し、部屋に閉じこもった方が安全だとドアを目指そうとしたが、突然尻尾を掴まれて身体が宙に浮く。

「うわっ?!!」
「わーたぬき〜どこ行くのぉ?」
「ざ、残夏? 何で……!?」
「ふふ、まさかボク達に見つかってないとでも思ってたの?」
「貴方がラウンジに入ってきた時から気付いてましたよ」
「まーな。お前分かりやすすぎるし」
「ふはははは、せっかくM奴隷が自ら罠にかかってくれたことだ、楽しもうではないか。さあ、私の部屋へ行くぞ家畜共!」

 ……いつの間にか、やたら楽しそうな4人に囲まれていて。
 俺は早々に逃走を諦めた。

(こいつらに捕まって、逃げられるわけねーだろ!)




End




リクエストありがとうございました!!
攻めの方々をもっと変態にできなかったのが悔やまれます←
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up:2012/05/10

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