ごちゃまぜ
2012/12/11 22:09

イヌ(双蜻・捏造しかない)


「双熾」

何の気もなしに名を呼ぶ、自分の下僕の。

「どうなされましたか、蜻蛉様」

 下僕――双熾はただそれだけで幸せそうに微笑を浮かべ、私に跪いた、幼いころ、双熾を母が連れてきた時から幾度となく目にしてきたその光景。の、はずなのに、今日はひどく違和感を覚えた。『お前がそのように心から仕えるのは私ではないだろう』と。そう思った自分にまた疑念が膨らむ。そんなはずはない。私が、これの主人だ。

「……蜻蛉様?」

 そこで、双熾の困惑と心配が入り混じった声が耳に入り我に返る。何でもない、という風に首を振れば、安心したように息を吐いた。

「ご気分でもすぐれないのですか?」
「いや、問題ない。少し考え事をしていただけだ。下がれ」
「かしこまりました」

 どくん、と。ふと双熾が立ち上がる直前に向けた私を慈しむような表情に胸が騒ぐ。違う、お前が見ていたのはあの少女。ドアへ向かう双熾の後ろ姿に彼女の黒髪が重なる。駄目だ、彼女に会ったら、双熾は私から離れる。彼女の元へ行ってしまう。私のことなど、置いて行って。

「……双、熾」

 絞り出した声はきっと震えていた。そのためか、ぱっと双熾が振り向く。

「貴様は……“私”の犬だな……?」

 私、だけの。
 突然そう問うた私をどう思ったのか、双熾は目を見開いて。
 それから、ゆっくりと口元に笑みを形作った。

「はい、僕は蜻蛉様のもの……貴方だけの、犬です」

 その言葉に安心したなんて、皮肉にも程がある。


(前は「つまらない」と罵ってやったというのに)

***

転生して幼いころからぼんやり前世の記憶があった蜻さまが双熾を助けて双熾は純粋に蜻さまに仕えてるんだけど、最近凛々蝶のことも思い出して彼女を探して双熾と会わせるべきだと思いながらもどうしても双熾を手放したくない蜻さまみたいな面倒な話。



かみさま(黒赤)


 僕にとって君は神様でした。僕を見つけてくれたあの時からずっと。仲違いしていたときですら、僕の根底を見下ろせばそこにいるのはいつだって君だった。
 ……もう、離れて居たくないんです。そのためにここまで来た。王者であることを止めた君ならいいでしょう? 傍に居させてください。お願いですから。
 ねえ、僕の神様、赤司君。


 ――なんで。
 意味が分からない。
 なんで、お前が泣くんだ。泣きたいのはこっちだというのに。
 お前に負けて、僕が僕であることの証明がなくなって、僕の世界が崩れていく音を聞いて、頭の中もぐちゃぐちゃで、今すぐにでも涙腺が決壊しそうなのに。
 なんでお前が泣きながらそんなことを言って僕にしがみつくの。
 何も考えられず身を任せていると、さらに強く抱きしめられた。

「ぼくの、ものになって」

 え、
 お前、何言って、
 まっすぐに射竦められて言われた台詞に呆然としていると、お願い、とまた泣きそうな顔で囁く。
 テツヤ、


 好きなんです。
 だから、僕は君に勝ちたかった。君を、神様じゃなくて僕と同じ人間だって知りたかった。そして、今度は、

 僕が君の神様になってあげるから。

 信仰者は楽ですよ? 王様で、神様であることよりずっと。
 ねえ、赤司君――征十郎。


 そして、僕は……俺は、その手を選んだのだ。

 どうしようもなく愚かな俺だけの神を。

***

厨二臭さは気にしない。そしてここから赤司が黒子に依存しまくる話ください。



あまいひと(紫氷・眼球舐め注意)


「室ちん」
「なんだい、アツ……っひあ?!」

 べろり、と。
 室ちんの振り向きざまにその瞳を舐めた。
 いや、その前に瞼が閉じちゃったから正確には舐めようとした、か。あらら、ざーんねん。

「ア、アツシ、何して、」
「目閉じないでよ室ちん」
「え、ごめん……っていやそうじゃなくて」
「いいから黙ってくれる〜?」

 珍しくどもってる室ちんはひとまず無視して、指で瞼を押さえつける。それで空いている手で身体を抱きこめばもう逃げられない。

「……っ!」

 今度こそ、ゆっくり味わうように瞳に舌を這わせる。目を閉じたいのに閉じられない室ちんは泣きそうに顔を歪めている。そんな表情でも綺麗で、つい見惚れていたけどホントに舌先に塩辛さを感じて一旦離れた。

「……室ちん?」

 室ちんは声を上げないで涙を流し続けている。多分せーりてきはんのうってヤツだと思うけど……もしかしてそんなに痛かったの? さすがに罪悪感。

「室ちん、ごめん。しみちゃった?」

 今度は涙だけを舐め取ると、ぴくり、その肩が震えた。潤んだ片目が俺を映す。

「……当たり前、じゃないか……というか、いきなり訳が分からないよ、アツシ」

 言われた言葉に思わず瞬き。……ワケ? そんなの、俺が舐めたいって思う理由なんてたった一つじゃない。  

「美味しそうだったから、つい。」

 耳も唇も指もうなじも身体の奥深くも全部全部、甘ったるい室ちんだったら目も甘いのかと思っただけ。
 そして、

「やっぱり、甘かったよ、室ちん」

 涙だって確かにしょっぱいと俺の舌は判断していたのに、頭がどんな砂糖塗れのお菓子よりも甘いって感じてた。


(……また、舐めたら怒る?)

***

むっくんなら眼球舐めプレイだって平然とやってくれると信じてる。


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