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一生片想いだと思っていた天敵とも言える男に告白されました。



「いざやママ?おやさいのところすぎちゃったよ」

「へ?ああ、本当だ…有り難うカノ」

マンションから近いスーパーに買い物に来ていた私と架音。

考え事をしていたらうっかり野菜のコーナーを通り過ぎたらしく架音が洋服を引っ張ってくれた。


3日前、ついにシズちゃんに折原臨也が女だとばれた。
ばれたのは仕方ない、むしろ今までよくばれなかったなぁと思ったくらいだ。

しかしシズちゃんはやっぱりシズちゃんだ。女だと言ったらシズちゃんは何やらぶつぶつと呟いたあと『好きだ、付き合え』と言ってきた。

私は昔からずっとシズちゃんが好きだったけど、シズちゃんが私を好きっていうのが信じられない。しかも好きって言う前に、女なら悩む必要ない。…そう言っていたって事は少なくともシズちゃんは男装してた私を好きで悩んでいたということになる。

3日前は突然のことに頭が容量オーバーで何も考えられなかった。
普通に両思い…って思っていいんだよね。


そう考えてポッと顔が赤くなるのを考えつつ食材をカゴに入れているとまたもや架音に呼ばれた

「いざやママ。キャベツもうたくさんだよ?」

「あ……れれ、」

カゴにはキャベツが山のように入っていた。

「……キャベツはひとつで十分だよね」

あははと笑ってから脳を切り替えなんとか買い物を済ませたのだった。






******


「あー…うー…」

「ちょっと、アナタさっきからうるさいっていうかうざいわよ」

「波江さん冷たい…」

「カノはおとなしく遊んでるんだから仕事しなさいよ」

「だって…」

結局あれから家に戻ってまた、シズちゃんについて考え始めた私はうなってばかりで、波江さんが呆れたように声をかけてきた。


「まったくこの間からうじうじと…何があったのよ」

「シズちゃんに女だってばれてさらに告白された」

「あら、よかったじゃない。ならさっさと仕事しなさい。」

「まだ返事してない。」

「今すぐしてくるのね。」


そういうと波江さんは私の腕を掴んで携帯と財布を渡すと問答無用で玄関まで押し出された。


「カノは私が見ててあげるから行ってきなさい。じゃないといい加減ウザイわよ。あ、帰る前に連絡よこしなさいよ。」

「いざやママお出かけするの?」
「そうよ。今から頑張ってくるみたいだからカノも応援してあげなさい。」

「がんばってね。」

「じゃあ、返事するまで帰ってこないことね。」

波江さんはカノの夕飯は作るわとつけたすとついに私を外に追いやった。

あれ、今一言も喋る間を与えてもらえかなかったんだけど…

しかも何で自分の家から追い出されてるの?おかしくない?


こうして、あと4日はあった返事の期限が強制的に縮められたのだった。








*****



「あの、シズちゃ……平和島静雄に会いたいんですけど…」


仕方なしにシズちゃんの仕事先を訪ねれば、まだ取り立てから帰ってきていないらしく、とりあえず…と応接室のような場所に通されお茶を出された。

まさか私が折原臨也だとは思わなかったためか名乗りもせずにあっさりともうしばらくしたら戻ってくるとおもうのでと対応された。

数分後やってきたシズちゃんはソファーに腰掛ける俺をみると口をあけて至極間抜けな顔をしていた。


「臨也……」


「取り立てお疲れさま。シズちゃん」


扉を閉めたシズちゃん。

私もシズちゃんも無言で、気まずい空気だ………


「シズちゃん……その…この間の返、事…」


「あ、あ……」


「……………………………ぃ」

スカートをぎゅっと掴んでうつむいたまま蚊の鳴くような声で呟いた。
ああ、恥ずかしい、今すぐ逃げ出したい。
今まで生きてきたなかで一番恥ずかしい。


「………」

「シズちゃん…?」

「何だ?」

「何だって……今」

私今返事したんですけど!!!


「何も聞こえなかったぞ…」

「うっ……」

「いや、マジで…だから聞こえるように頼む」

「あ…う、……だだから……」

あ、やばい。私、絶対顔がゆでダコ状態だ…

相変わらず私はソファーに座っててシズちゃんは立ったまんままた数秒間沈黙が流れる。

そして今度はシズちゃんにちゃんと聞こえるように声を出した。



「わ、たしも…シズちゃんが好きです…お付き合いさせてください……」


今なら羞恥心だけで死ねる。いや死んだら困るけどさ……

てか、返事したんだから、シズちゃん何か言えよ…

今さら、無かったことにしてくれ何ていったら私、池袋と言わず世界を血の海にしてしまいそうだ。

シズちゃんの顔が見れないし、シズちゃんは何にも言わないから下を向いたまま黙っていればようやく、シズちゃんが行動を起こした

「臨也。」


「うん…ってほわぁあっ!?」


「愛してるーっ!!!」




私をソファーから抱き上げて力一杯叫んだシズちゃんの声は当然建物内にも響き渡っていた。

びっくりしたシズちゃんの上司や他の社員が何事か!と駆けつける。

シズちゃんと、シズちゃんに抱きしめられて真っ赤な私の姿を確認すると誰からともなくパチパチと拍手が起こり、静雄おめでとう!との声が上がり始める。


それからはあれよこれよと、シズちゃんの上司が酒を持ち出したりして何故かお祝いパーティーになり、シズちゃんの会社公認の恋人となったのだった。




続く?
………………………………………直球で熱い男、平和島ww
影の功労者は波江さん。真の功労者は臨也をママと呼んで女だとばるきっかけをつかった架音。

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