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「やぁ、波江さん。紹介するよ私の娘の架音だよ。」
「おりはらかのん5さいです。よろしくおねがいします。」
仕事で外に出たり知り合いにすら本当の性別を隠している変人な上司の元へ出勤したらいきなり、娘とやらを紹介された。
いいたいことはいろいろある。
第一に親しい人間であなたが女だって知ってる人いたの?
第二にいつ産んだのよ。5歳ってことは少なくともあなた10代よね。
第三にあーだから出勤前に子供向けの学習教材の本買ってこいなんていったのね。
「最近、引き取って一緒に住み始めたんだけど可愛くて可愛くて…」
「親戚の子でも引き取ったわけね」
「違うよ。残念ながら血は繋がってないんだよね。」
一応引き取った後に調べたんだけどといってのける臨也。
血は繋がってないと言ったがとてもそうは思えない。
そっくりすぎてこれで血が繋がってないだなんて世の中の家族中で自分だけ似てなくて落ち込む人々に謝るべきね。
というよりあの、折原臨也が子供にメロメロだなんてにわかに信じがたいわ…
雨といわずに雪が降るんじゃないかしら…
「さて、波江さんに早速仕事だよ。私これから池袋に行かなきゃなんないからカノを頼むね。」
情報屋に娘がいるなんてバレたらカノが危ないし第一シズちゃんと鉢あわせたらもっと危険だから!と言ってさっさと男装しに奥に引っ込む臨也。
男装し終えて戻ってくれば架音がすごいと感嘆の声をあげた。
「波江さんよろしく!カノ波江さんの言うことよく聞くんだよ?じゃぁ、いってきます」
「いざやママいってらっしゃい」
「……」
玄関までついていき小さい手をパタパタと振るカノ。
お土産買ってくるね〜と陽気に部屋の主は出ていき、部屋にはカノと私だけになる。
私、子供の扱い方なんて知らないわよ。誠二にしか興味なかったから。
どうしたものかと考えていれば小さな手がくいくいとスカートをひっぱる
「なみえちゃん?」
不思議そうに首をかしげている架音は確かに可愛かった。
この素直そうな子供があの性格歪みきった上司とは確かに血は繋がってなさそうね。外見はそっくりだけど。
「とりあえず…これでもやりましょうか?」
スカートをつかんだままコクンと大きく頷いた架音
数時間すごして見て分かったことは、架音は非常におとなしい子供であまり喋るタイプではなかった。しかし表情豊かで無愛想なわけではない。
買ってきた本を見ている際に、すごいわねと誉めればパアッと嬉しそうにしていたし特に私を苛立たせることもなかった。
この年頃の子供なんて絶対にうるさくてイライラすると思ったのだが架音にはそれが全くない。むしろアレだ……
ものすごく癒される。
ネブラから追われるは、大事な弟に変な虫はつくわ、上司は変人だわと散々な日々に架音はこれとない癒しだわ。
そんな具合で臨也が帰ってくる頃にはすっかり架音に骨抜きになって、次に仕事に来たときには架音に大量の衣服やら小物を買ってきてしまうのだった。
終わり
………………………………………
今のところ架音メインな感じですがしばらくしたらがっつりシズイザメインになります。ちなみに波江さんは臨也が女だと知っている数少ない人物。新羅が知っていると知らないどちらにしようか悩み中…。
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