Baby don't cryT
「ちょっと君！」
「何ですか？」
「子供から目を放しちゃダメだろ。」
「……は？」
「気をつけて下さいよ」
新宿の街で呼び止められたお巡りさんから託されたのは私によく似た女の子でした。
**Baby don't cry
仕事もなく男装する必要もなかっので、普通に女の格好で買い物でもするかと新宿の街をフラフラしてい所に押しつけられた少女。
迷子であろうその少女は自分によく似ていて血縁と間違われても無理はなかった。
「えーと…名前聞いてもいいかな？」
「かのん」
5歳と指で示しながら自分を見つめてくる少女ことかのん。
お母さんやお父さんの名前は？と聞けばいないと返された。
じゃあだれと来たのと聞けば知らないオジサンと答えた。
知らないオジサンって間違いなく誘拐されたんじゃ……
「…そのオジサンはどうしたの」
「知らない人だからにげてきた」
「…とりあえず警察に行こうか、うんそうしよう。」
コクりと頷いたかのんの手を引いて交番を目指して歩きだす。
警察にかのんを預けて終わりと思いきやそうはいかなかった。
まず、警察に自分とかのんが全くの赤の他人であることを説明するのにかなり時間がかかった。
その次にかのんの身元である。捜索願いが出ていたらしいが、その場所は東京ではなく遠く離れた県にある身寄りのない子達の施設であり、本日中に迎えに来ることが無理であること。
そこで、じゃあ君1日預かってよと再度かのんを押しつけられた。何が『じゃあ』なのか全くもって分からない。仮にも捜索願いの出てた少女をじゃあっていって警察関係者でもなんでもない人に預けるなんて理解不可能だ。
「いざやちゃんこれ」
「いいんじゃない？可愛いと思うよ。パジャマは？これとかあれも可愛いけど」
今日1日預かることになったかのんを連れて着替えを買うべくやってきた子供服専門店。
1日な割りには存外ノリノリで服を選んであげている自分にびっくりした。これでかのんが煩い子供だったらもっと適当にあしらったのだが、かのんはとてもおとなしくいい子だったのだ。
小さい手で自分の手をぎゅっと握ってくる様子も、いざやちゃんと呼ぶ様子も随分と可愛らしくてこの時点でだいぶ情が移ってしまっている。
それに、ふだんこんなに癒されることがないから余計にだ…
そう考えて脳内に池袋に行けば問答無用で追い掛け回してくる静雄や、闇医者、首無しライダー、双子の妹達といった面子を思い浮べてため息をついた。
「いざやちゃん？」
「ああ、ごめん。決まったなら買ってこようか」
「うん。ありがとういざやちゃん」
か、かわいい！！
きゅんとした。子供ってこんなに可愛いの？いや、うちの妹達はこのくらいの時からすでにおかしかったから、かのんが特別可愛いのか。
「……せっかくだから、もうちょっと遊んでかえろっか」
ついついもっと世話をやきたくなって提案すれば子供らしくぱあっと顔を輝かせた。
これは、きっと明日別れるとき泣く…
折原臨也ともあろうものが情けないことに泣くだろうな…。
夜は外のレストランで食事をとった後マンションに帰って風呂、歯磨きとかいがいしく世話を焼いた。
1日出歩いて疲れたのか寝室に連れていけばすぐに眠ってしまったかのんを見つめくすぐったい気分になる。
子供がいたらこんな感じなのかと…
久しぶりの休日は思いがけない小さな来訪者のおかげで楽しかったなぁと思いながら自分も眠りについたのだった。
***
「本当にご迷惑をおかけしました。」
「いえ。迷惑なんかじゃありませんでしたよ。とてもいいこでしたし」
翌日、朝イチでかのんを迎えに来た施設の人間に会うべく再び交番を訪れた。
「さぁ、かのんちゃん帰りましょうか」
「……」
迎えがきてからひたすらにむすっとしているかのん。
施設の職員の言葉に頷くこともなく俯いたままに手をひかれる姿はあまりにも気落ちしていた。
「……あのっ少々お時間いただけないでしょうか！！」
気付いた時には職員を呼び止め、かのんを引き取りたいと言っていた。
引き取ると言った際にかのんがいざやちゃんといっしょに住めるの！と嬉しそうにしてくれたし職員もかのんの懐きっぷりに納得したのか正式な手続きを経てかのんは養女として私が引き取った。
つまりかのんは折原臨也の娘、折原架音となった。
「いざやちゃんはかのんのおかあさんになるの？」
「うん、そうなるね。別にお母さんって無理に呼ばなくてもいざやちゃんのままで構わないよ。架音はそだね〜愛称はカノかな？どうだいカノ？」
そう尋ねると架音はしばらくうーんと考えた後、少し恥ずかしそうにコチラを見つめてポツリと呟いた
「……いざやママ」
またしてもキュンとしてしまったのは言うまでもない。
こうして折原臨也には可愛い娘ができました。
◆続く？
………………………………………ちっちゃいこと戯れる臨也ｗｗ今回は女性です。
シズちゃんいつだせるかな？先に波江さんが登場予定です。
[ 54/103 ]
[＊prev] [next＃]
[mokuji]
[しおりを挟む]