「なつにぃ、タバコって美味しいの?」


「…どうしたんだ急に」



大学生になって化粧を覚え、色気付き始めた可愛い妹が首を傾げながら問いかける。



「友達がね、彼氏とキスしたらタバコの味がしたのって嬉しそうな顔をして言うから、美味しいのかなって」



無意識なのだろうが、艶やかなピンク色に彩られた唇に細い指を添える仕草が妙に色っぽい。



「わたしもタバコの味、知りたい」


「未成年が何言ってんだ」


「ね、お願い。ちょっとだけ」



純粋な好奇心を帯びた瞳が、探るように視線を寄越す。

可愛い妹は、俺の知らないところでいつの間にか女になっていく。

そう思うと無性に腹が立って、気付いたらその唇に噛み付くようにキスをしていた。
驚いたように目を見開いていたが、抵抗はしない。
それを良いことに舌を絡め、隅々まで堪能する。



「…んっ、……なつ……め……っ……」



苦しくなったのか、俺の胸を押し返し、弱弱しい声で俺の名前を呼ぶ。

"兄"としての呼び方ではなく、俺自身の名を。

その瞬間、コイツの策略に乗っていたことに気付いた。



「…ねえ、もっと教えて?」



小首を傾げる姿は、もう妹ではなく、一人の女だった。



(全部ちょうだい?)

2014/7/24


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