それ、まだ続けるんスか?夜更かしはお肌に悪いっスよ。「モデル様こそ早く寝なよ」モデル様って…なんスかそれ……いや、だからさ。一緒に寝よ?布団に入ってくれないと俺も寝れないっス。「もうちょっとで終わるから…」あ〜あ、モデル様のお肌がボロボロになっちゃうっスよ〜。可愛い彼女のせいでモデル様のお肌が〜…いてっ!クッション投げた!なにするんスかもぉ〜…………ごめん!ごめんって!拗ねないでってば〜。
「もう、涼太うるさい」
「ごめん!冗談っスよ〜!…でも、一緒に寝たいって言うのはホント」
そう言って綺麗な顔で笑って、逞しい腕でぎゅって抱き締めてくるからズルい。
ふわりと香るシャンプーの良い香りをすんすんと嗅ぐと、くすぐったそうに髪を揺らす。
彼は私を抱き締めたままベッドに横たわり、私の身体は彼の胸板に押し付けられた。そのままトン、トン、と心地良いリズムで背中を優しく撫でられ、彼の体温と香りに包まれていると、知らんぷりしていた眠気が急にやってきて瞼をどんどん重くしてゆく。
「忙しいのは分かってるけど、ちゃんと休んで。俺も手伝えることはなんでもするから。……もうちょっと甘えて欲しいっス」
ああ、この人はちゃんと私のことを見ていてくれてるんだな。
優しく、でも言い聞かせるようなトーンで話す声が心にすっと染み込んでいく。愛情を感じるなあ。
「ちゃんと甘えてるよ?」
「甘えてるつもりかもしれないけど、全然足りないっスよ……俺、なんでもするよ?何か無いんスか?して欲しいこと」
「……じゃあ、ちゅーして?」
「ん」
腰に手を添えられ、優しく体勢を入れ替えられる。さっきまで見下ろしていた顔を見上げるのはなんだか変な感じ。
綺麗に整った顔が近付いてくる。ずっと見ていたいくらい綺麗だけど、長い睫毛が私の瞼にぶつかりそうになり、慌てて目を閉じた。
吐息を感じた瞬間、そっと唇が重なり、息を飲み込む。
気持ち良い。その体温が、香りが、感触が。安心する。吐息混じりの声が遠く感じて、重い瞼を開けようと頑張るけどあまりにも心地良くて、わたしは抗うことをやめた。
「っ……はぁ………………ぁ……寝ちゃったんスか…?」
ねえ。頑張ってる君も好きだけど、あんまり頑張りすぎないで。俺がいつでも側にいるから、もっと頼って、もっと甘えて。泣き言だって言っていいんスよ?……って、聞いてないっスよね。
おやすみなさい、良い夢を。