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「……ん?」


数歩先を歩く曽良が、突然ピタリと足を止めた。


「どうしたの曽良君?」


曽良の背からひょっこりと顔を出す芭蕉を曽良は手で制する。


「また来ましたよ。…ここ最近多いですね」


曽良はキッと遥か前方からゆっくりと、しかし着実に近づいている群衆を睨みつけた。芭蕉もそれを見つけて表情を険しくする。


「それがかさねちゃんに近づいているってことだったら嬉しいんだけどね…。まだ私の弓の射程範囲には入らないなぁ。どうするの?」

「向こうが来るのを待っていたら日が暮れてしまいます。さっさと終わらせたいんで此方から行きますよ」

「了解。あー、緊張するなぁ」


再び歩き出す二人。段々とはっきり見えてくる群衆の姿に、曽良は僅かに口角を上げた。


口から覗く鋭い牙。


頭に生える二本の角。


人間の肌とは程遠い、固くて真っ赤な肌。


手に持つ棍棒は一撃でも食らえば確実に致命傷になるだろう。



そう、


二人の前に立ちはだかるのは、どう見ても鬼としか言えない群衆だった。

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