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他の町人にも聞いた結果、四人は町の中央にある旅館に泊まることにした。


「結局[湯鐘旅館]ってなんだったんでしょう?皆行かないほうがいいって言ってましたけど…」


部屋に置かれた煎餅に手を伸ばしながら妹子が言う。疲れた足を癒すため、ぐてーっと横になっていた太子はそのまま寝てしまったらしい。


「本当に出るのかもしれませんね」

「ひぃっ!やめてよ曽良君!私を脅かせようとしたってそうはいかないぞ!」

「別に脅かそうとしてませんよ。でも幽霊でも見れば、芭蕉さんもショックでスランプが治るかもしれませんね」

「そんなショック嫌だよ!くそう曽良君の鬼弟子!」


涙目でマーフィー君をギュウッと抱きしめる芭蕉。そんな二人を見かねた妹子が「まあまあ」と二人の間に入った。


「大丈夫ですよ、そういうのは大抵幻覚や幻聴で、それに尾ひれがついたものですから。だからそんなに泣かないでください芭蕉さん!」

「ひっく…ありがとう妹子君……妹子君が天使に見えて来た……」

「とりあえず泣かないでください芭蕉さん……」


ハンカチを差し出す妹子に感激する芭蕉。曽良はそんな二人を退屈そうに眺めていた。

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