1

夕方になり、次の町に辿り着いた四人は町の中を散策していた。


「大きな町ですねぇ」

「そうだねー。あっ!曽良君曽良君。あそこに屋台があるよ、屋台」

「ダメですよ芭蕉さん。あなたは昨日も茶屋に行ったでしょう」

「私もそろそろいい感じの武器が欲しいなぁ。なんかこう……曽良が持ってる感じの」

「鋼糸は素人が使えば自分の身体をバラバラにして終わりますよ」

「ご飯前にそういう話はやめましょうよ……」


とりあえず今日の宿を探そうと、近くを通った町人に声をかける。


「すみません。旅の者なのですが、どこか良い宿をご存知ですか?」

「さぁ……宿の主人とはあまり縁がないからねぇ。あぁ、でも[湯鐘旅館]には行かないほうがいいよ。あそこは幽霊が出るからねぇ」

「幽霊?」

「あぁ、なんでも人形を抱えた女の子の霊が出るとか……。もういいかい?」

「あ、はい。ありがとうございました」

「いやいや。ゆっくり旅の疲れをとっておくれよ」


去って行った町人に礼をすると、妹子は話を聞いていた三人に向き直った。


「……幽霊?」

「本当に出るのか?っていうか足痛い。しゃがむ」

「もっ、もしかして曽良君、また……!?」

「なぜそんな顔でこちらを見るんですか芭蕉さん」


一瞬で顔を青ざめさせる芭蕉に曽良は訝しげな視線を向ける。


「まぁ、行くなと言われて行く人はいませんし、別の旅館を探しましょう。太子、立って下さい」


足が痛いを連呼する太子を腕を引っ張って立たせる妹子。


「幽霊気になるんだけどな〜」

「曽良君…また憑かれてるんじゃ……」

「疲れてるに決まってるでしょう。芭蕉さんだってつかれてるんじゃないですか?」

「わ、私は憑かれてないぞ!そんなわけない!」

「……元気が有り余っているのか知りませんがあまり叫ばないで下さい。うるさいです」

「生気吸い取られてるんだよ!やばいよそれ!今すぐお祓いに「やかましい!」グボァ!私は曽良君を心配しただけなのに……」


宿を探すにも一苦労。こんなのでこの先やっていけるのかと妹子は少し心配になった。

[ 24/26 ]

[*prev] [next#]
[目次]
[main]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -