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数秒後。
「治ったぁぁぁぁ!」
「ふぅ……。太子、もうどこにも痛みはありませんか?」
「ぜーんぜんナッシン!妹子もこういう時だけ役に立つなぁ」
「何様だこの茄子が!」
「脇腹ッ!!」
調子に乗る太子の腹を思いっきり殴る妹子。痛みに呻く太子を腕を組んで見下す。
「調子に乗らないで下さい太子。油断するからこういうことになるんですよ。芭蕉さん達がいなかったらどうなってたことか……」
想像して身震いする妹子。二人が来なければ、おそらく太子と妹子はあの男に殺されていただろう。それほどまでにあの男は強かったのだ。
妹子の言葉に太子は「そうだよ」と二人を見た。
「芭蕉さんに曽良、その武器は……」
「目指す先も同じでしょうし、話は歩きながらしましょう。いいですね?芭蕉さん」
「うん、私は構わないよ。二人もそれでいい?」
芭蕉の問いかけに二人は頷く。それを見た曽良は「では行きましょうか」と歩き出した。
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