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「ね、ねぇ曽良君、妹子君。そろそろ太子君がやばいような……」

「あっ!そ、そうだ!太子、生きてますか!?」


遠慮がちな芭蕉の声で、妹子は太子の事を思い出す。慌てて太子の元へ駆け寄り声を掛けると、太子は痛みに顔を歪めながらも口を開いた。


「生きとるわアホ……早く治せ……」


そう言う太子の表情はかなり辛そうだ。

「それが人にものを頼む態度ですか全く……。動かないでくださいよ太子。あ、それと【身体強化】は解いて下さい」


太子の身体を包む緑の光が消えたのを確認すると、妹子は太子の背中にそっと手をかざした。

手の平に魔力を集中させる。すると妹子の手が白い光を放ち出し、太子の背中の傷が徐々に塞がり始めた。


「妹子君は回復魔法が使えるの?」


それをじっと見ていた芭蕉が興味ありげに妹子に問いかけた。妹子は手の平に意識を集中させながら答える。


「他の支援魔法、例えばバリアや身体能力上昇魔法は使えませんが回復魔法なら使えます。ただ、この傷だと恐らく全快させた時には魔力が空っぽになるかと……」


回復魔法は傷の深さによって魔力の消費量が変わる。今回の太子の傷は深い上に内臓まで損傷しているため、魔力の消費が通常より更に激しいのだ。

魔力がなくなっても身体に影響を及ぼすことは無いが、もし敵に遭遇してしまった時には対処の仕様がなくなる。


妹子の説明を聞いた芭蕉は納得したように頷くと、「頑張れ!」と励ましの声を掛けた。妹子は苦笑しながらも「ありがとうございます」と軽く頭を下げた。

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