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「曽良君!?なんでこんなところに……」

「話はあとです。まずは太子を安全なところに移動させましょう」

「うん……って曽良君!後ろ!」


曽良の背後に三体の鬼が忍び寄る。妹子が慌てて声を掛けると、曽良は顔色を変えないまま視線を横に向けた。


「芭蕉さん」


ドスッ


曽良が呼ぶと同時に、横から飛んできた矢が曽良に迫っていた一体の鬼の頭に突き刺さった。続けざまに他の二体にも矢が刺さる。


「やっぱり僕が必要だったでしょ?曽良君」

「当たり前のことで勝ち誇らないでください芭蕉さん」


弓を持って誇らしげに胸を張る芭蕉。曽良は毒を吐いて芭蕉をあしらうと、妹子に手を差し伸べた。


「立てますか?」

「あ、うん…ありがとう」


曽良の手を借りて立ち上がる。


「じゃあ残りは僕が片付けるので妹子さんは太子を……」

「ちょっと、僕のこと忘れてない?」


曽良の声を遮ったのは、いつの間にか太子の足元に立っていた男の声だった。妹子が顔色を変える。


「太子!」

「凄いね。まさか一瞬でこんなにやられるとは思わなかった」

「太子から離れろ!【ウィンドスピア】!」


激昂した妹子が風の槍を男に飛ばす。しかし男はそれをひらりとかわした。


「そんな怒らないでよ。短気だなぁ」

「太子を傷つけた張本人ですか、貴方は誰です?」

「秘密。今日は分が悪いし引くけど、次会ったときは覚悟してね。じゃ」


曽良の質問をさらりと受け流し、男が消える。【空間把握】で探しても見つからないということは本当に帰ったのだろう。妹子はほっと息を吐いた。

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