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順調に鬼の数を減らしていた時、【空間把握】で周囲の敵の数を確認していた妹子が大きな声を上げた。


「太子!後ろです!!」

「なっ!?グッ…ガァ!!」


一瞬で太子の後ろに現れた男が長い爪で太子の背中を斬り裂いた。それを見ていた妹子は男の姿を見て眉を顰める。


「あの形……人間?」

「どうでしょうね」

「ーーーーっ!」


またもや一瞬で妹子の後ろに現れた男に、妹子は振り向きざまに回し蹴りをかます。

が、男はそれをかわすと瞬時に妹子から距離をとった。


「誰だあんたは!」

「さあね。別にお前に言う筋合いないし」

「【ファイアブレイク】!」


男に向けて巨大な炎の玉を飛ばす。しかしそれが当たる前に男の姿が消えた。


「また消えた!?」

「残念」

「ーーーー! くっ…そ!」


後ろから声。

妹子は横に大きく跳んで、真後ろからの男の攻撃を回避する。


「なんで避けられたんだ?今完全に不意打ちだと思ったんだけど」

「それは残念でしたね」


【空間把握】で男が妹子の後ろに現れて爪を振り上げていたのは見えていた。だがそれを教えるほど妹子も馬鹿ではない。


「でも僕以外にも君の敵はいるからね」


男がそう言ったのとほぼ同じタイミングで、右から鬼が体当たりしてきた。しかし妹子は涼しい表情でそれを蹴り飛ばす。


「見えてるんですよ」

「ふーん。でもさ、流石にこれはキツイんじゃない?」

「………何がです?」

「その男守りながら全方向にいる鬼相手にすんのはいくら君でも厳しいと思うよ?」


その言葉に反応するように、いつの間にか妹子の足元にいた太子が小さな呻き声を上げた。男が楽しそうに笑う。

その直後、二人を突如現れた大量の鬼が取り囲んだ。


妹子は思わず舌打ちする。この男の能力がわかったのだ。


【瞬間移動】



妹子の額から冷や汗が垂れる。

足元には負傷した太子。


そんな二人を男の能力、【瞬間移動】によって一瞬で取り囲んだ大量の鬼達。





まさに絶体絶命の状況だった。

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