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翌日、宿を出た太子と妹子は、竹中を探すため次の町へと向かっていた。


「結局あの後曽良君達には会えませんでしたね」

「そうだなぁ。でも次の町に行くって行ってたから近いうちにまたどこかで会えるんじゃないかな」

「だといいですね」


太子の言葉に妹子は少し嬉しそうに頷く。どうやら久々に出来た友達に気持ちが舞い上がっているらしい。


「そういえば妹子、あの時芭蕉さんに句を聞かせてもらったんだろ?感想はどうだったんだ?美味かった?」

「漢字が違いますよ太子」

「あぁそっか。旨かったか?」

「それも違います」

「あれ?なんだっけ?どんぶり?」

「何ですかどんぶりって。ほら、もたもたしてないでさっさと歩いて下さい太子。放って行きますよ」

「わかったわかった。わかったから耳を引っ張るのは止めろ。伸びるだろうが」


太子の耳を引っ張って歩こうとする妹子。離してはくれたものの、なぜか耳はびよーんと伸びてしまっていた。


「ああこんにゃくみたいになっちゃった。これもう耳じゃない」

「ほらさっさと行きますよ太子」

「はいはい……ん?なんか忘れてるような…?なんだっけ?眉を剃るの忘れてたっけな?」


どうしても思い出せない。しばらく首を捻って考えていた太子だったが、大したことではないだろうと結論付け、考えることを放棄した。

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