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今だに水鉄砲遊びを続けている太子、
曽良を止めることに若干の体力を消費した妹子、
水鉄砲をもっと練習していつか芭蕉を遠くからでも当ててやろうと企む曽良、
水中土下座により身体と魂が切り離されようとしていた芭蕉の四人は、湯船に浸かって他愛ない雑談タイムを繰り広げていた。


「へぇ、じゃあ曽良君は芭蕉さんの俳句の弟子なんだ」

「ええ」


妹子と曽良は年齢が近い者同士馬が合うらしく、すっかり打ち解けている。

「じゃあ芭蕉さんってすっごく俳句が上手なの?」

「そう…ですね。芭蕉さん、折角ですから今の気持ちを句にしてはどうですか?」


太子と水鉄砲を撃ち合っていた芭蕉に声をかける。話を聞いていなかったらしく、曽良達に近づくと「え?なに?」と返してきた。


「妹子さんが俳句に興味を持っているんです。折角ですから、今の気持ちを一句詠んでみてはどうですか?」

「ほんとに?そうだなぁ。さっきも一句詠んだけど、妹子君が興味を持ってるんだったらその興味を無下にするわけにはいかないよね」

「さっきのは句とは言いませんよ。芭蕉さん、また五・七・五を忘れていませんか?」

「お、覚えてるよ!じゃあ……妹子君と太子君に会えたこの気持ちを句にしてみよう」


妹子の期待の目と曽良の睨むような視線に見守られながら芭蕉は句を詠み上げる。


【友達が 増えてく増えてく 嬉しいな】


「小学生か!」

「フンコロガシッ!」

「弟子が師匠を叩いた!?どういう師弟関係なのこの二人!?」


芭蕉の頬を勢い良く叩く曽良に妹子が驚愕する。


「俳句かぁ……。妹子、私も詠んでみたい」


芭蕉と一緒にこっちに来て話を聞いていたらしく、ずっと黙っていた太子が思いついたように言った。

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