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宿の一階にある大浴場。二人は服を脱ぐと腰にタオルを巻いて、一目散にそこへ続く扉を開けた。


「銭湯!妹子!銭湯だぞ!」

「銭湯ですねぇ……ガチの」


浴場のど真ん中に設置された大きな湯船。その奥の壁には巨大な富士山の絵が描かれていた。


「素晴らしいほどの銭湯っぷりですね」


思わず感嘆の息を漏らす妹子。それに対し、太子は大浴場(銭湯)を目の前にしてかなりハイテンションになっていた。


「妹子!早く入ろう!私飛び込みたい!」

「僕達の他にも人がいるでしょうが!もっと静かにしろアホ太子!」

「お前は本当に日に日に口が悪くなっていくなぁ……」


どうやら太子の鋼のハートに僅かにヒビが入ったらしい。しかし妹子はそんなことは気にせず身体を流すとさっさと湯に浸かってしまった。


「ちょ、おま!私を差し置いてなに勝手に風呂に入ってんだこのヤロー!」

「いいから早く入れこのアワビが!」

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