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「太子、それ何ですか?」
「これか?これはなぁ、私が丹精込めて編んだマフラーだぞ!羨ましいだろ!」
ジャーン!とどう見ても蛇か何かにしか見えないマフラーを見せつける太子。
「全然羨ましくないです。ていうか僕には弱体化した蛇にしか見えないんですが……」
「だろう?蛇をモチーフにしたからな。名付けて【蛇になっちゃったよどすこい君】だ」
「長いよ!しかもどこからどすこい来たんだよ!」
「羨ましいだろ〜」
「いえまったく」
「なんでだおま!聖徳太子が編んだマフラーだぞ!」
即答する妹子にマフラーを突きつける太子。妹子は「ああうっとおしい!」と叫ぶとマフラーをはたき落とした。
「ああっ!【蛇になっちゃったよどすこい君】が!おのれ妹子……この恨み千倍にして返してやるわー!」
「ああもう!ただでさえ暑いのにひっつかないでください太子!なんか魚臭いし暑い!」
「魚臭くないわ!ハーブの香りがするだろう!」
グイグイと妹子に身体を押し付ける太子。
「こんなハーブあるか!馬鹿言ってないでさっさと行きますよ!」
「このコロン自信あったんだけどな〜」
クンクンと自分のジャージの匂いを嗅ぐ太子。
「コロンつけてたの!?なんでそんな匂い選んじゃったんですか!」
「いい香りだろ?」
「魚臭いっつってんだろこのタコが!」
ボケ続ける太子にツッコミを入れながら炎天下の道を歩く妹子。しかし、ふとその足がピタリと止まった。
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