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「まったく……貴方はなんでそんなに危なっかしいんですか?」


視界に広がる真っ赤な海と肉塊。そのど真ん中に立っている芭蕉を見ながら、曽良は呆れたような溜息を吐いた。


「だって〜…曽良君が断罪するって言うから……」


べそをかきながら言い訳をする芭蕉は血塗れである。


「だからって弓を捨てて短刀二本で敵陣に突っ走って行く必要はないでしょう。パートナーが僕だったから良かったものの、下手な鋼糸使いだったら芭蕉さんごと鬼を真っ二つにしていましたよ」

「何気なく自画自賛するんだね……」

「黙らっしゃい!」

「理不尽ッ!!」


断罪チョップされた頭を抱えてくねくね悶える芭蕉。そんな芭蕉を曽良は汚物を見るような目で見ていた。


「何くねくねしてるんですか気持ち悪い」

「誰のせいだと思ってんだコノヤロー!っていうか結局断罪されたし!」

「もう日が暮れます。早く宿に行って服を洗いましょう」


僕も少し血がついてしまいましたし、と曽良は自身の白い着物に点々とついた血を見て少し不機嫌そうな顔をする。


「そうだね、こんなに真っ赤になっちゃったよ。鉄臭いし……」

「芭蕉さん。臭いんで近寄らないでくれますか」

「その言い方やめてよ!なんか私自身が臭いみたいに聞こえるだろ!」

「その通りですが?」

「まさかの肯定!?私頑張ったのにー!このエス夫!」

「誰がエス夫だ!」

「ドクヅキッ!!」


曽良は芭蕉の服にべったりとついた血を見て大体、と続ける。


「なぜ能力を使わなかったんですか。空気の膜を張れば血まみれになることはなかったでしょうに」

「……あ」

「……ハァ。忘れていたんですね?」

「うん……」


ハッとしたような芭蕉の表情を見て、曽良は呆れた。


(この耄碌ジジィは本当に……)


「ったく……行きますよ!芭蕉さん」

「う、うん」


少し早足で歩き始める曽良。芭蕉は地面に置いていた弓矢を拾うと小走りで曽良を追った。

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