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僕は小野妹子。日和学園一年生として、二週間前に入学しました。
まだ友達もあまりいませんが、楽しい毎日を送っています。
そしてこの時期、一年生はあることを決めなければいけません。それはーーーーー
「部活?」
「ええ、部活です。妹子は何にするんですか?」
曽良の問いかけに僕は首を捻った。
特に入りたいところがあるわけでもない。高校生ならば部活はやってみたいところだが、バイト三昧の高校生活というのもまた良い気がする。
「うーん…どうしようかなぁ。曽良はどうするの?」
「まだ決まってません。もし決まってないなら、一緒に仮入部に行きませんか?」
「仮入部?」
聞き返す僕に、曽良は溜息を吐く。ちなみに曽良は中学の時からの友達だ。ツンの部分が多いけど立派なツンデレだよ!
「全校集会で言われたでしょう。……まさか寝てたんですか?」
「いや、その……新作のゲームが面白くて、つい深夜まで……」
「ハァ……ゲームのやり過ぎは目を悪くしますよ?」
「ごめんなさい……」
項垂れる僕を見下げる曽良。呆れたような曽良の表情に僕は更に肩を縮こませる。
「で、行きますか?入らないとしても、色々見て回るのは良いことだと思いますが」
「曽良も一緒に来るんだよね?じゃあ行く!」
「……そのキラキラした目を止めて下さい。うっとおしいです」
「へへへ、ごめんね。つい嬉しくて」
「ったく……。そろそろチャイムが鳴るので戻ります。じゃあ今日の放課後にでも行きましょうか。迎えに来るので待ってて下さい」
「はーい。またあとでねー」
約束を取り付けて教室から出て行く曽良を見届け、ふと窓の外を見る。窓際の席なので、授業中でもこうして外を眺めることはよくあった。
「……ん?」
いつも通り外を眺めていると、予鈴がなり誰もいなくなった校庭に誰かが走って来るのが見えた。
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