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「だから言いたくなかったんですよ。貴方達、確実に笑うでしょう」
「だって曽良っちがそんなこと言うとは思わなかったから……。あー、いいこと聞いた!」
「そうですか。代金としてワンケーキ頂きましょう」
「まさかの有料!?」
一応ながらも先輩に代金を請求する曽良は凄いと思う。
と、その時、太子がいいこと思いついた!とでも言うようにポンと手を叩いた。
「曽良、妹子にタメ口使ってみてよ」
「嫌ですけど?」
「即答!?ねえいいじゃ〜ん。副会長命令!」
「職権乱用もいいとこです。お断りします」
「むー……でも妹子も同年代だし、曽良にタメ口で話して欲しいと思ってるんじゃないか?」
なっ?と僕に話を振ってくる太子。そりゃ、話してもらいたくないって言えば嘘になるけど……うーん、でも曽良すっごい嫌そうだし……。
少し考え、僕は太子の問いに答えた。
「話して欲しいです」
ほらやっぱり!と顔を輝かせる太子。僕はすかさずでも!と言葉を続けた。
「曽良が嫌がってまでタメで話して欲しくはありません」
嫌々タメで話されても両方気分が悪くなるだけだ。……というのは建前で、ただ曽良が不機嫌になるのが嫌なだけなのだが。
だって曽良、不機嫌になると怖いんだもん。
「……そっかぁ。ふふっ、妹子はいい子だなー!」
「うわっ!頭撫でないでください!僕は子供じゃないんですよ!」
わしゃわしゃと僕の頭を撫でる太子。いきなり何なんだこの人は!
「ごめんな曽良。無理言っちゃって」
「……別に構いませんよ。というか妹子が真剣すぎてこっちが恥ずかしいくらいです」
「うう……」
曽良にまでそう言われて、羞恥で顔がボッと熱くなる。閻魔先輩が爆笑しているのに腹が立ったが、今は真っ赤になっているであろう顔を隠す為に俯いているしかなかった。
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