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「そういえばまだデザートを食べていませんでしたね……」


そう呟いて、菓子パンの棚を見つめる曽良。


「え…まだ食べるの?」

「? デザートを食べていないと言ってるでしょう」


どうやら食後のデザートは曽良にとって当たり前のことらしい。

その時、シャー芯を買ったワトソン君が戻ってきた。


「おまたせー。ん?なんだ河合、デザートか?」

「はい」

「ふーん。ま、食べ過ぎは身体に毒だし、ほどほどにしとけよ」

「どうも」


ワトソン君を見ずにそう返し、いちごみるくパンを取ってレジに向かう曽良。どうやら決まったようだ。


「冷たいなぁ。もしかして僕、嫌われてたり?」

「そ、そんなことないよ!曽良は嫌いなら嫌いってきっぱり言って近づかない人だよ!」


ガックリと肩を落とすワトソン君を必死にフォローする。


「じゃあ初対面の人には皆あんな感じなのか?」

「うん…その…ちょっと人見知りみたいで……」

「…それ、友達出来るのか?」

「……ほら、慣れれば優しい時もあるし」


気まずい沈黙が流れる。会計から帰ってきた曽良が黙っている僕達を見て眉を寄せた。


「……先程と違ってえらく静かですね。喧嘩でもしましたか?」

「いや、そうじゃないんだけど……」


沈黙の原因が曽良にあるなんて言えない。


「…まあいいでしょう。早く帰りますよ。チャイムが鳴る前にこれ、食べたいんで」


そう言っていちごみるくパンが入った袋を軽く振る曽良。なんとしてでもデザートは食べたいらしい。


「そうだね。ワトソン君、もう大丈夫なの?」

「ん。シャー芯も買ったしな。早く教室に戻ろうか」


河合も早く食べたいみたいだしな、と爽やかに笑うワトソン君。

そんなワトソン君の耳に口を近づけて囁く。


「ワトソン君、もう曽良と仲良くなれてるよ」

「ーーーへっ?」


突然の言葉にハテナを浮かべるワトソン君の腕を引いて教室へ向かう。後ろで既にいちごみるくパンをかじっている曽良を見て、思わず笑みが零れた。




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