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「桜ケーキ……美味しそう」


どうやらこの時期限定の商品らしく、砂糖で出来た桜の花びらが散らされているのがとても可愛い。

美味しそう……でも桜味ってどんな味なんだろう?


「……これにしよっかな」


桜ケーキに興味を惹かれた僕は、それを購入することにした。鞄から財布を取り出して並ぼうとした時、列のだいぶ前の方にいた芭蕉先生が声をかけてきた。


「妹子君、何買うか決まったの?」

「はい、桜ケーキを買おうかと」

「ああ、美味しそうだよね。可愛いし。じゃ、三分くらいそこで待っててくれる?」

「? はい」


芭蕉先生の言う通り、ショーケースのケーキを見ながら芭蕉先生を待つ。一体なんだろう?


丁度三分ほど経った時、会計を済ませた芭蕉先生が戻ってきた。それと同時に差し出されるケーキの箱。


「はい、これ」

「え?」

「桜ケーキだよ。皆の分も入ってるから、後で一緒に食べようね」

「え!?」


芭蕉先生の言葉に驚く。え、ヒュースケン会長の分入れたら七人分あるよね……?桜ケーキって結構な値段したはずだけど……。


「わああ!すいません!今払います!」

「あぁ、いいよ別にー。先生が生徒にお金受け取るわけにもいかないし。私からのプレゼントと思って」


あ、でも私達だけの秘密ね?と微笑む芭蕉先生。そんな芭蕉先生を見て断れるわけがなかった。


「……ありがとうございます」

「うん!楽しみだねー。どんな味するんだろ?」


せめてものお礼と言うことでケーキの箱は僕が持つことになった。七個入ってたらちょっと重いしね。

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