8
「よく捕まえられたね曽良」
「闇雲に手を伸ばすのではなく、考えて先読みなさい」
「捕まえてくれてありがとー!テストしてたら暴走して止まらなくなっちゃって!」
曽良からミニチュアカーを受け取りニカッと笑う男性の顔を見て、僕は目を見開いた。
「神宮会計!?」
ずっと走ってきたらしく、汗だくの神宮会計。しかし息切れしている様子はないのを見ると、かなり体力があるらしい。
「お、知ってるんだ俺のこと。君達は一年生かな?」
「あ、はい。一年B組の小野妹子です」
「1-Cの河合曽良です」
「妹っこに曽良っちねー。了解了解ー。ね、俺達の部活見に来ない?それとももう入っちゃった?」
「はい!?っていうか妹っこって…」
「どうなのー?」
笑顔なのに有無を言わさぬ迫力に思わずたじろぐ。
「入ってないです……」
「君はー?」
「入ってません」
「じゃあ決まりだね!早速部室へレッツゴー!」
神宮会計は僕達の襟をガシッと掴むと猛スピードで走り出した。
「ちょっ…!?じ、神宮会計どこの部なんですか!?」
「技術部ー!!」
「ぎじゅっ…!?とりあえず……離せぇぇぇぇぇ!」
[ 9/43 ][*prev] [next#]
[目次]
[main]