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「妹子!寝てないで行きますよ」
「んうう…眠たい……」
「SHR中いつも寝ているんですか…?早く起きて下さい」
体を揺さぶられ、強制的に起こされる。眠たい目を擦りながら曽良に視線を合わせる。
「今何時……?」
「帰りのHRが終わったところですよ。放課後です、仮入部に行きますから早く立って下さい」
「んー……はーい」
のろのろと立ち上がり机に掛けてある鞄を取ろうとすると、バッと曽良に鞄を取られた。
「なにすんの曽良……」
「そんな覚束ない足取りでこんな重いもの持っても落とすに決まってます」
よくわからないが、心配してくれているということでいいのだろうか。
「曽良ぁ〜ありがと〜」
「……さっさと起きなさいこの芋が」
ぐいーっと頬を引っ張られる。心なしか曽良の顔が赤い。照れてるのかな?
「照れてる曽良〜」
「断罪しますよ?はぁ…さっさと行きますよ」
僕の鞄を持ち直してスタスタと教室を出て行く曽良。僕は顔をニヤつかせながら曽良の後を追った。
「今日はどこから周りましょう?」
「んー…ここから近いところから行く?」
地図を見ながら段々覚醒してきた脳内でここから一番近いところを考える。
「ここからだと……文芸部が一番近いね。この廊下の突き当たりだよ」
「文芸部ですか……。そうですね、じゃあそこから行きましょうか」
……なんか曽良から黒いオーラを感じるんだけど気のせいかな?
邪気にも似たオーラに身震いすると、僕はそれを振り払うように曽良の手を取って早歩きで部室まで向かった。
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